ガチャン、といdha epa

 ガチャン、という音を立ててその扉は閉まった。
「あ、あなたが悪いんだからね!」
 捨dha epaて台詞と同時にパタパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ちポリ ペプチド去ってしまったようだ。
「うーん」
 閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。
 まず扉を押してみると何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月dha epa明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
 カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
 さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…」
 チロも同意するように頷く。あまりにも詰め亜鉛の甘すぎる監禁だった。
 もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
 一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
 さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」
 人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がなかったことに気がついたが後の祭りである。
 かくして近づいてきたのゴーヤはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
 2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
 考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
 さて気を取り直して、とミモザは窓枠dhaに手と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
 ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
 その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
 が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
 ミモザはその姿にうっ、とうめく。
 彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
 体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
 そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っているゴーヤ チャンプルー
(なんだ……?)
 パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
 ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
 声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
 ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
 探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないで亜鉛の効果あろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
 庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
 これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
 手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
 迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
 教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。

「フラフラついて行くなと言っただろうが」
 ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
 その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」アントシアニンの効果
 はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
 ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
 ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
 さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
 とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
 身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
 ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
亜鉛 サプリ おすすめクロムの効能ゴーヤゴーヤ

「疲れた……」 クロムの効能

「疲れた……」
 よろよろとミモザはレオンハルト邸の扉を開けた。
 なんだかゴーヤ色々と濃い時間を過ごしてしまった。
 とりあえず顔に塗りたくっクロムた染料は泳いでいる間に落ちたが、可能ならお風呂に入ってすっきりしたいところである。
(まずはお風呂、次に何か飲んで、ベッドで寝る)
 やりたいことを夢想しながらふらふら歩いていると、
「ミモザ」
 背後から声がかけポリ ペプチドられた。
「レオン様」
 今は流石に修行する気にはなれないなと思いつつ振り返ると、彼のそばには白い軍服に身を包んだ教会騎士が立っていた。
 嫌な予感がする。猛烈に。
 そしてそんな予感ほどよく当たるものである。
「ちょうどいいところに帰ってきたな。これから教会に一緒に来てくれ」
「えっと、何があったんですか?」
 恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトはいかにも不愉快といった表情dhaで答えた。
「ジーン君とマシュー君が失踪した。おそらくは君の姉、ステラ君のもとにいる」
 ミモザはあんぐりと口を開けた。

「皆さんお聞き及びかとは思いますが、先だっての精神汚染事件の被害者であるジーン君とマシュー君の二名が失踪しました」
 そうオルタンシアは重々しく口を開いた。
 場所はいつも通りのオルタンシア教皇の執務室である。もはや恒例かと思われるメンバーがそこには揃っていた。すなわち、ミモザ、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤである。
「それと同時に、彼らと思しき人物がステラ君と思しき人物と連れ立って歩いている姿が目撃されています。証言では彼らはとても仲睦まじそうな様子だったとのゴーヤ チャンプルーことです」
 ダンッと壁を叩く音がした。フレイヤだ。
 彼女は悔しげな顔で嘆いた。
「ジーン! あれほど変な物は食べないようにと言ったのに!」
「妙だな」
「ええ、妙な話です」
 ガブリエル、オルタンシア両名はそれに冷静に告げる。
「一度目はともかく、二度目です。彼らも馬鹿じゃない。差し出されたものを食べるとは思えません」
「何か別の手法で摂取させられたということですか」
 レオンハルトの問いに、
「その可能性が高いでしょう」
 オルタンシアは頷いた。
(別の手法……)
 ミモザは考える。
(一体どんな?)
 あれは経口摂取以外の方法がないと前回の時にオルタンシアから聞いていた。それもそこそこの量を取らなければならない。そのためにバーナードは飴という形で砂糖で味を誤dha epa魔化して食べやすくしたのだろうとのことだった。
「何にせよ、このまま放っておくわけにはいきません」
「俺が行きましょう」
 その言葉にレオンハルトが前に進み出た。
 金色の瞳が、静かにオルタンシアを見つめる。
「確実に捕えるために」
「……そうですねぇ」
「僕にも行かせてください!!」
 決まりかけそうな気配に、慌ててミモザは挙手して訴え出た。
 姉の関わることで除け者になるなどごめんだ。
(それになにより)
 ミモザはレオンハルトのことを心配げに見上げる。
 ここで何もせず、万が一のことがあっては悔やむに悔やみきれない。
 レオンハルトが戸惑うように彼女を見た。
「ミモザ、しかし……」
「僕にも行かせてください。必ずお役に立って見せます」
 じっと確かめるように金色の瞳がミモザを見下ろす。それに負けじとミモザは見返した。
 しばらく二人は見つめ合う。それは根比べにも似ていた。
「………いいだろう」
 諦めたように先に目を逸らしたのはレオンハルトだった。アントシアニン彼はふぅ、と息をつく。
「レオン様!」
「ただし」
 喜びに口元を緩めるミモザにレオンハルトは釘を刺す。
「俺の指示に従ってもらう。君のことだから大丈夫だとは思うが……」
「はい」 
 レオンハルトの言いたいことを察して、ミモザは静かに頷いた。
「貴方の指示に従います。足は引っ張りません」
「よし」
 レオンハルトは弟子の物分かりの良さに満足げに頷くとオルタンシアの方を向いて「我々で対応します」と告げた。
 それにオルタンシアが頷く前に、ずいっと割り込む人影がある。フレイヤだ。
 彼女は堂々とその豊かな胸を張ると「当然だけど、わたくしも行くわ」と宣言した。
「オルタンシア様」
 そして銀色の目を細めてオルタンシアに問いかける。
「洗脳を解く方法は、薬が自然に排出される以外にないのですか?」
「そうですねぇ」
 それは重要な質問だった。オルタンシアは難しい表情で記憶を探るように目を瞑る。
「……目には目を、歯には歯を、精神には精神を。強い精神的ショックを与えれば目を覚ます例があったと書物には書いてありましたね」
「わかったわ! 精神的ショックね!」
 フレイヤはその情報に鼻息荒く頷く。
(精神的ショックかぁ…マカ サプリ…)
 色々とやりようがありそうだな、とミモザも一つ納得するように頷いた。
サプリメント マカクロムdha

 2人でトボdha

 2人でトボトボと畑に囲まれた道を歩く。まぁ、トボトボしているのはサプリメント マカミモザだけでレゴーヤオンハルトは相変わらずの堂々たる足取りだ。
 ミモザはちらり、と無言で隣を歩く師を見上げた。
「あのぅ、もしかしてなんですが」
「うん?」
 ミモザの言葉を聞くように、レオンハルトは向きポリ ペプチド合う形で足を止めた。ミモザも立ち止まる。
「アベルのこと、嫌いですか?」
 その疑問に彼はにっと犬歯をみせて意地悪く笑う。それはイタズラが見つかった子供のような笑みだった。
「わかるか?」
「えっと、まぁ、そうかなって」
「嫌いだよ、あんな奴」
 そう吐き捨てるように言った後、ふと思い直したように彼は「ああ」と吐息を漏らした。
「しかしそんなにわかりやすかったか、気をつ亜鉛 サプリ おすすめけないといけないな」
「いえ、そこまであからさまではありませんでしたので。でもまぁ、楽しそうだなぁと」
「ふっふ、いやすまない。君にとっては災難だったとは思うのだが……」
 そこでどうにも堪えきれないというようにレオンハルトは笑みをこぼす。それを隠すように手で口元を覆った。
「嫌いな奴を正論で追い詰めるというのは愉快でつい、な。バレないように自重しなくては」
「……あなたにとって幸いであったなら僕も嫌な目にあったかいがあります」
「ここは不謹慎だと責める場面じゃないか?」
 不思議そうに首を傾げるレオ亜鉛の効果ンハルトにつられるように、ミモザも「うーん」と首を傾げた。
 2人は鏡写しのように向き合って同じ方向へ首を傾げる。
「僕1人だったら嫌な目にあったっていうだけの話でマイナスで終わっちゃうんですが、あなたが喜んでくださるなら補填されてプラスの出来事になるじゃないですか。意味もなく嫌な目にあったわけじゃないと思えるので」
「ネガティブなのかポジティブなのかわからない理屈だな」
 まぁ、君らしいか、とレオンハルトは微笑む。
「まぁ、君がそう言ってくれると俺も遠慮なく面白がれるというものだ」
「悪い人ですね」
「言っただろう」
 首を傾げるのをやめてレオンハルトは笑った。
「俺は不公平な人間なんだ」
 それは悪党にふさわしい凄みのある笑みだ。
「贔屓するべきは僕じゃなく家族なんじゃないでしクロムょうか?」
 しかしミモザは首を傾げたままだ。ミモザのその疑問に、レオンハルトは笑みを深めた。
「ふふふ、不思議か」
「二人は仲が良いのだと思ってました」
「まさか。あの能天気で恵まれた弟が疎ましくてたまらないさ。格好悪いから言わないだけだ」
 そうだなぁ、とレオンハルトは周囲を見渡す。辺りに人影はなく、あるのは畑と用水路だけだ。
「食べ損ねた昼食でもどこかでとるか」
「よろしいのですか?誰かに見られたら……」
 ミモザとレオンハルトがぐるだとバレてしまうのではないか、そんな不安がよぎる。しかし彼はそんなミモザの懸念を一笑にふした。
「いじめられて落ち込んでいる子どもを慰めるだけさ」
「なるほど」
 それなら、とミモザは頷いた。

 2人並んで適当な木陰へと座り、畑を眺めながらサンドイッチを食べる。用意したコップには水筒からいつものミルクティーをそそいでいた。
「俺の父親はどうしようもないろくでなしの呑んだくれでな、精霊騎士としては優秀だったようだが酒で問題を起こして軍dha epaを首になってからは更に荒れた。母親は娼婦でこっちも酒癖の悪いかんしゃく持ちでね。幼い頃は二人によってたかって殴られたものだよ」
 遠い記憶を思い起こすようにゆっくりとレオンハルトは語った。その口調は内容とは裏腹に随分とのんびりとしており欠片も悲壮感はない。
「ああ、同情は不要だ。母親は俺が幼い頃にあっさり死んだし、父親も俺の身体がでかくなって敵わなくなると大人しいものだったよ。それに俺は元から両親のことを好きではなかったし、なんの期待もしていなかった。まぁ可愛げのない子どもだったんだな」
 この傷も父親がやったものだ。と右目の火傷跡を見せる。
「幼い頃に、なんだったかな。火鉢の炭だったかなんだったかを押し付けられたんだ」
 ああ、火鉢ってわかるか、中に焼いた炭を入れる暖房器具なんだが、とジェスチャーをし始めるのに、「知ってます」とミモザは頷いた。
「見たことはありませんが、知識としては」
「そうか、正直今では廃れて使ってるのなんて魔導石もろくに買えないような貧乏人だけだろう」
「そうなんですか」
 ミルクティーに視線を落としながらミモザが相槌を打つのに、レオンハルトは苦笑して頭を掻ポリ ペプチドく。
「まぁ、可愛くない子どもは蔑ろにされて当然だ」
 誤魔化すように言われた言葉にミモザは顔をしかめた。
「……当然じゃないですよ」
 全然当然ではない。
「おかしいです」
「……そうか」
 レオンハルトは否定せず、何故かミモザを慰めるように頭を撫でた。慰められるべきはレオンハルトだというのに変な話だ。
「もしまたそのようなことがあれば、今度は僕が守ります」
「すまないが、俺はもう自分自身で身を守れるし君よりもずっと強い」
 そう言いつつもレオンハルトの口元は嬉しげに緩んでいる。ミモザはつまらなそうに口を尖らせた。
「アベルの母親のカーラさんと再婚した頃は一番穏やかだった。たった4年しか持たなかったがね。彼女は賢明な女性だった。親父の『病気』が再燃するとすぐさま切り捨てた。……一応俺のこともアベルとともに引き取るつもりだったようだ。しかしそれは親父が拒んだ。別に俺に愛情があったわけじゃない。カーラさんに嫌がらせがしたかったのさ」
 そこで彼はミルクティーで口を湿らせた。普段こんなに長く話すことのない人だ。どうやら話しずらいらしい。先ほどからあまり視線が合わない。
「2人で王都へ行ってからの日々は最悪だったよ。しかしまぁ、王都にいたおかげで道が開けたとは言えるだろうか。俺は生まれつきガタイが良くて強かdha epaった。しばらくの間は精霊使いとして小銭を稼いで暮らしたよ。王都では需要に事欠かなかったからな。その関連で人に精霊騎士を目指してはどうかと言われてこうなったのさ」
 精霊使いというのは騎士の資格は持たないが精霊で戦うことを生業としている人達のことだ。騎士になるには色々と条件があるため、あえて騎士にならずに精霊使いとして働く人も多い。むろん、資格職なぶん、精霊騎士のほうが収入は安定していることが多いのだが。
 最初弟とカーラに会いに行ったのは安心させるためだったのだ、と彼は言った。
「彼女は俺のことも実の息子のように可愛がってくれていた。だから俺が無事であるということと、数年とはいえ穏やかに暮らさせてもらったことの恩返しもできたらと思っていたんだ。金は受け取ってはもらえなかったがね」
 苦笑する。伏せられた金色の瞳を憧れるように細め「彼女は理想の母親だった」と囁いた。
「弟のことも可愛がるつもりでいたさ。だが俺がくだらない親父の相手をしている間も、貧困に喘いでいる間も、あの弟は彼女のもとでぬくぬくと育っていたのだと思うと可愛がる気になれなくてな。この田舎の村で俺のことを笠にきて自慢するのを見ていると、ますます萎えてしまった。まぁ、あいつは別に悪くないさ。ただ逆の立場だったらと思う事が時々ある。要するに、ただのみっともない嫉妬さ」
「そうですか、なら僕と同じですね」
 ミモザの言葉に、やっと彼はミモザのほうを向いた。ミモザはそれを見つめ返す。
「僕には出来のいい姉がいて、彼女は僕サプリメント マカの欲しいものを全部持ってるんです。だから僕はそれが羨ましくて……」
 体育座りをしている膝に、こてん、と頭を預けてミモザは無邪気に笑った。
「僕たち、おそろいですね」
「……嫌なお揃いだな」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてみせて、しかしすぐにレオンハルトは口元に淡い笑みを浮かべた。
「初めて人に話した」
「僕もです」
「内緒だぞ。格好が悪いからな」
「はい」
「君の話も内緒にしておいてあげよう」
「まるで共犯者みたいですね」
「まるでじゃないさ」
 ミモザが見つめる先で、彼は金色の目をにやりと歪めて悪いことに唆すような甘い声を出す。
「俺と君は共犯者だよ、間違いなく。だって一緒にアベルのことを陥れただろう」
 人差し指を一本立てて見せると、それをミモザの唇へと押し当てた。
「内緒だ」
 しー、と吐息を吐き出す彼に、ミモザも同意するようにしー、と息を吐き出した。
 2人は身を寄せ合って笑った。
アントシアニン亜鉛の効果亜鉛マカ

 第4の塔のクロム

 第4の塔の中身は見渡す限りの草原だった。ところどころに沼地があるものの遮蔽物が何も亜鉛の効果ないだ亜鉛の効果だっ広い空間の真ん中で、彼らは身を寄せ合って座っていた。それぞれめいめいに『試練の塔閉鎖!』や『これ以上の犠牲者を増やすな!』と書かれた看板やのぼりを手に掲げている。
(どうしたものか)
 その集団の中にゴーヤ チャンプルーあって、マシューは頭を悩ませていた。このような事態はまるっきり彼の想定にはなかったからだ。
 彼の若草色の髪が風に流れる。深い森のような緑の瞳は冷静に周囲を見回した。そばかすと丸顔のせいで若く見られるがマシューは15歳の成人済みの青年である。この中では若造の部類に入るが事情もよくわからず連れてこられた子ども達よりは大人だ。こうなってしまった以マカ と は上、マシューには子ども達を守る責任がある。
「塔の開放はんたーい!安全のために閉鎖しろー!」
 その時1人の老人が声を張り上げた。何が楽しいのかその顔には満面の笑みを浮かべている。
 思わず舌打ちをする。
(あいつさえいなければ……)
 あの男、ロランが今回の立てこもりの首謀者だ。マシューは反対したが、先日の失策のせいで聞き入れられなかった。だとしてもこのような強行策をみんなが支持するとは、マシューが思っているよりも改革がうまくいかないフラストレーションが溜まっていたらしい。
 マシューの推測ではあの老亜鉛人はおそらく保護研究会の過激派だ。そうでなければ今回の行動を推し進める説明がつかない。この立てこもり行為はあまりにも割が合わなさすぎる。利益を出すためには、そう、例えばここで人が死ねば人々の非難は教会に向くかも知れなかった。彼はマシュー達被害者遺族の会を捨て駒にするつもりなのだ。
(くそっ、どうしたら)
 しかし今それを仲間に伝えたところで通じないだろう。そもそもこの作戦の無益さはとうに訴えた後である。マシューには先導者やリーダーとしての才がない。あくまで裏方で策を練るのみで人の上に立つことが難しいのだ。
(だからこそ、彼女に)
 ちらり、と人の輪の中心部を見る。そこにはジェーンが背筋を伸ばして座っていた。
(彼女には人を惹きつける力がある)
 マシューにはないものだ。マシューはジェーンにリーダーマカ と はになって欲しかった。
 マシューは自身の守護精霊である白い毛をした子猿、キースを見た。
(いざとなったら俺が盾になる。みんなを生きて返す)
できることならそんな事態は考えたくもなかった。
 
 一体何時間が経っただろう。あらかじめ用意していた水筒の水は尽きてしまった。それまでは何もいなかった草原にはちらほらと馬型の野良精霊の姿が見え始めていた。彼らはまだこちらの様子を伺っているが、襲って来るのは時間の問題だろう。最初は威勢の良かった仲間達も、その数が20を超えたあたりで恐怖のほうが勝ってきてしまっている。
「お、お兄ちゃんっ」
「大丈夫。大丈夫だからな。俺のそばを離れるなよ」
 子ども達がしがみついてくるのを抱き返す。
「なーにをびびっとる!これはぁ!我々の家族のため!これ以上の犠牲者を出さないための勇気ある行動である!!」
 元気なのはロランだけだ。
「おい、大声を出すなっ、下手に刺激クロムをしたら……」
 襲って来るぞ、と言い切る前に、馬のいななく声がした。
「き、キース!」
 マシューの声に反応してキースは防御形態の盾となりその突進を防ぐ。しかし相手は一頭だけではないのだ。次々と襲いくる野良精霊に、キースは防戦一方だ。
「み、みんな!早く!今のうちに避難を!!もういいだろう!」
「で、でも……」
 迷うように、けれど挑むこともできずに立ちすくむ仲間に、マシューは怒鳴る。
「もう充分に抗議の姿勢は見せた!これで俺たちが本気だと教会にも国にも伝わっただろう!成果はあげた!撤退だ!」
 その必死の叫びにはっとした顔になり移動を始めたところで、
「ならぬ!!」
 ロランが立ち塞がった。白髪を振り乱し、手には槍を持っている。
「我らが同胞よ!まさか臆病風に吹かれて逃げる気ではあるまいな!そんなことでどうする!家族は!大切な家族を二度も見捨てる気か!!」
 その一喝に立ちすくむ。ロランはここから先は一歩も通さんという態度で仁王立ちをしていた。
「……っ!逃げろ!」
 その時キースの盾をすり抜けた1匹がジェーンの下へと向かった。彼女は驚いたように身を引き、しかしそれ以ゴーヤ上は動けずに、
「ジェーンさん!」
「これは大いなる一歩である!!」
 マシューの叫びとロランの高笑が重なった。
 ーーと、がこん、と妙な鈍い音がした。
 呆然と見つめるマシューの目の前で、その馬の首は跳ね飛ばされた。
 血飛沫が舞う。そんな悪夢のような光景の中で、場違いに美しい少女が立っていた。
「どうやら間に合ったみたいですね」
 涼やかな声がする。金色の髪が風になびき、その深海のような瞳がマシューのことを見た。
「すみません、遅くなりました」
 まるで待ち合わせに遅れた報告のように、呼ばれていないはずの彼女はそう言った。
 そこで初めてマシューは彼女の持つ巨大なメイスが馬の首をへし折ったのだと理解した。
マカ と はアントシアニンの効果クロム

 結論からポリ ペプチド

 結論から言えばいじめ問題は解決した。
 ミモザが学校に通わず課題のdha epaみの在宅学習をすることを認めるdhaという形で、だ。
 ーーあの後、学校は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
 悪質なイジメとそれを担任の教師が見て見ぬふりをして増長していたことを重く受け止めた学校側が保護者との話し合いの場を設けたのであるアントシアニンの効果
 それはミモザの狙い通りの結果だった。
 隣のクラスの担任教師は公正明大を自で行く人物で、曲がったことを許さない性格であることをミモザは知っていた。そして授業中に騒ぎを起こせば責任感の強い彼ならば駆けつけてくれることも確信していたのだ。
(でも意外だったな)
 誤算だったのはミモザの母、ミレイが想像以上に怒ったこサプリメント マカとである。
 ミレイは本来とても大人しく日和見な人間だ。それこそ周囲の人間に「双子の見分けがつかないと困る」と言われて髪型や服装を分けさせることで差別化を図るという行動に従うほどである。
 ミモザの小心者な性格は彼女から受け継いだと言っても過言ではない。
 だから今回の件もいままでのミモザがそうであったように、ミレイは困ったような顔をして事を荒立てず穏便に済ますと思っていたのだ。ーーけれど、
「ミモザ……っ」
 傷だらけのミモザを前に彼女は半泣きで駆け寄ると、すぐにその亜鉛 の サプリ体を抱きしめた。
 そうしてミモザの怪我の具合を確認すると、キッと顔を上げ「一体どういうことなんですか!」とそばで説明のために控えていた教員に詰め寄ったのだ。
 これにはミモザは驚くのを通り越して呆気に取られた。これまでの人生で母がそんなにきつい声を出すところを初めて見たのだ。
 そしてその後も驚きの連続だった。学校側の説明を受け今後の対応の話になった時、学校側は再発を防ぐためにミモザを他のクラスに移すことを提案した。これはかなり思い切った案であると思う。学校側もそれくらい今回の件を重く見ていたということだろう。しかしそれにミレイは首を横に振った。
「それだけでは足りません。聞けばクラスの全員が今回の件に加担していたといいます。そアントシアニンの効果してそれに先生方は誰一人気づかず、担任の先生は隠蔽していたとか。その状況でどうして貴方がたを信用できると言うのです。クラスを変えたところで同じことが起きない保証は?事件になったことで逆恨みをされてさらにひどいことになるかも知れない。第一ミモザの気持ちはどうなるのです。みんなにいじめられていたことを知られているんですよ。それで何食わぬ顔をして明日から学校に通えと言うのですか!こんな酷い怪我を負わされて!」
 そこでミレイが提示した条件は二つである。
 一つはミモザの在宅学習を認めること。ミモザの気持ちが落ち着くまで、下手をすればそれは卒業までになるかも知れないがプリント課題をこなすことでそれを授業の履修と見なし、きちんと卒業資格も与えること。
 そしてもう一つはミモザが復学したくなった際にはそれを認め、その際には今回いじめに加担した生徒からの接触を一切禁じること亜鉛 サプリ おすすめである。
 ミモザから話しかけた場合はいい。しかし加害者側からミモザに近づくことはないように監視して欲しいという要求である。
 当然学校側は四六時中見張っていることはできないと渋ったが「ではもし同様のことが影で行われてもやはり気づくことはできないということですね」と強く言われてしまうと反論は難しいようだった。
 結局、落とし所としては一つ目の条件は全面的に認め、二つ目に関しては要努力で適宜聞き取り調査なども行いながら対応していくという形となった。
 ちなみにミモザとしては許されるならば学校になど二度と行きたくないので卒業まで在宅学習で通す気満々である。一部の熱血教師を除いて学校側も対応に困っている様子のため、ミモザが学校に行かないという行為は双方にとって益がある選択だと言えるだろう。
「ミモザ、ミモザ、ごめんね、気づいてあげられなくて。頼りないママでごめんね」と抱きしめながら泣く母親にミモザは自分が愛されていたことを知って泣きそうになった。
 てっきりこの母も人気者のステラのことを自慢に思い、ミモザのことを下にゴーヤ チャンプルー置いていると思っていた。だからこのような面倒ごとを起こしてはうっとうしがられると思っていたのである。
 しかし実際は母はミモザのために泣き、ミモザのために学校と戦ってくれたのである。
 誤算は誤算でもこれは嬉しい誤算だった。
 ちなみに今回の件でアベルは一気に評判を落として面子が潰れたようである。姉のステラにも「嘘をついていたのね、ひどい!」となじられたようだ。
 一度潰れた面子はもう戻らない。偉ぶってももう格好がつかないだろう。彼の王冠は剥がされたも同然である。
 ついでに担任の教師も首になり、その上この小さい村中に噂が回り爪弾きにあっているようだ。彼がこの村を出ていく日も近いかも知れない。
(ざまぁみろ)
 ミモザは母親に抱きしめられながらほくそ笑んだ。
サプリメント マカゴーヤ チャンプルーdha epa dha

「試練の塔被害者マカ と は

「試練の塔被害者遺族の会ポリ ペプチド?」
 その単語にミモザは首をひねった。
「ええ、聞い亜鉛 の サプリたことない?」
「えっと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
 新聞などで見たことのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出す。それにレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉の通りではない」
dha epa dhaえ?」
「被害者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃあ納得できないのよねぇ」
 フレイヤは困ったようなポーズを取った。
「彼らはこれ以上犠クロムの効能牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
 新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単純に女神の作った物を踏み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まdhaぁ、こっちは過激派以外は放っておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
 なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
 テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
 確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう。
「けど被害者遺族の会は厄介なのよ」
「厄介?」
 フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないようサプリメント マカに立ち入りを禁止したいって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
 ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
 なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
 憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わる人間の育成に貢献している。そのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を亜鉛の効果利用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
 それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
 彼がここまで饒舌なのは珍しい。
「百害あって一利なしってことですか」
「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」 
 ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
 フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
 彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
「知り合いの記者に写しをもらったの。これが世に出るのは明後日」
「差し止めは、難しいだろうなぁ」
「ええ、書いた本人が希望するならともかく、わたくし達には無理でしょう」
 ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
 そこに書かれた内容は1人の娘を失った母親のポリ ペプチド悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
 フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
 オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
 この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
 フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。

 ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
 ミモザは会議に参加せず話を聞いていただけだがそれでも精神力がごりごりと削られるやりとりであった。
 さっさと立ち去るレオンハルトの背についていこうと足を踏み出したところで
「ミモザさん」
 呼び止められて振り向く。声の主は爽やか少年ことジーンであった。
 彼はミモザの不思議マカ と はそうな視線ににっこりと笑うことで答える。
「今日はありがとうございました。貴方のような美しい方に出会えてとても貴重な時間を過ごすことができました」
「はぁ……」
 彼が一体何を言いたいかがわからずミモザは戸惑う。それに彼は苦笑した。
「まいったなぁ、慣れないことはするもんじゃないですね。一応これ、口説いてるんですけど」
 うん?のミモザは首をひねる。『口説く』という単語の意味がミモザの中で急に行方不明になった。彼は少し困ったように頭をかく。
「そうですね、貴方にはこう言った方がいいかな。また今度時間があるときにでも、よければ手合わせを」
「……えーと、嫌です」
 視線を泳がせてミモザなんとかそれだけを返す。非常に気まずい沈黙がその場に落ちた。
「な、なんでですか?」
「ええと、たぶん僕、勝てないので」
「やって見ないとわからないじゃないですか!」
「うーん、だって、手合わせって試合ってことですよね」
 ミモザは考え考え言葉を話す。
「え、は、はぁ」
 彼は戸惑っている。ミモザは困ったように続けた。
「殺し合いじゃないと、勝機がないです」
「………」
「どーいう教育してんだ、お前」
 2人の会話に見かねたガブリエルがレオンハルトをこづく。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「非常に適切な教育をしているとも」
 そのまま褒めるようにミモザの頭を撫でる。
「勝ち目のない戦はするなと教えている」
「試合は勝てねえのに殺し合いは勝てるって?」
「少しでも勝率を上げるのに有効なのは相手を自分の得意な土俵に引き摺り込むことだ。公正ゴーヤなルールのある試合では、それは難しいと判断したんだろう。とても適切な判断だ」
「ねぇ貴方、やっぱりわたくしの弟子にならない?この際この男以外ならそこにいるおじさんでもいいと思うの」
「えーと」
 真剣な表情で親身に諭されて、ミモザは我が身の境遇がそんなにヤバいのかとちょっと悩んだ。
マカ と はゴーヤ亜鉛 の サプリdha epa dha

 頭上には晴天が広亜鉛 サプリ

 頭上には晴天が広がっていた。
(塔の中なのに青空……)
 不思議だ亜鉛 サプリ おすすめなーとミモザはぼんやり見上げる。
「ーーですから!こんな危険なことはやめて、クロムいったん外に!」
 チロもメイスの姿のまま「チチッ」と鳴く。彼女は綺麗な空だ、とつぶやいたようだ。
「塔の処遇については責任者でないとお話しできませんから、これ以上ここで粘っサプリメント マカても……」
 その時、馬の野良精霊が再び突進してきた。それをバッターボックスにいるバッターよろしくミモザは迎え撃つ。
 ぐちゃ、と嫌な音がして馬の頭が飛んだ。
 ふぅ、と息をつく。もう野良精霊達をどのくらい倒したかわからない。100匹近くいっている気がする。1人20匹までという制限も、いつもの『仕事』同様、今回も人員救助のために見逃してくれるというお墨付きをもらっていた。
「あー、返亜鉛り血がすごい」
「ていうかミモザさんも少しは説得に協力してもらえませんかね!?」
 黙々と野良精霊を狩り続けるミモザに、辛抱たまらんといった様子でジーンが怒鳴った。それに答えたのはミモザではなくジェーンだ。
「申し訳ありませんが、どなたに何を言われても私の意思は変わりません」
「ですって」
「ですって、じゃありませんよ!!」
 うーん、とミモザはうなる。
(だって無理だし……)
 狭い村の人間とすらあまりうまくコミュニケーションを取れていなかったミモザである。そしてクラスメイトにはいじめられていて友達が1人もいないミモゴーヤザである。
 それが自らを人質にして立てこもる人を説得。
(ハードルが高すぎる)
 きっとレオンハルトならうまいこと口八丁で丸め込むのだろう。姉なら優しく諭すかもしれない。
 しかしミモザはーー、
「ジーンさん、だったかしら。わずらわせてしまってごめんなさいね。でも私達も必死なのよ」
 ジェーンは困ったように首を振った。
「私の娘は勇敢な子だったわ。そしてちょっと目立ちたがり屋だった。あの子の性格を考えると精霊騎士を目指すのは必然だったかも知れない。でもあの子が亡くなってしまって、思ったのよ。もしも塔を攻略するなんて選択肢がそもそも存在しなければ、そうしたらあの子は今でも元気だったかも知れない。そう思ってしまうのはそんなにおかしいことかしら?」
「……お気持ちはマカ サプリわかります、ですが、」
「まだ、精霊騎士として任務についていたとか、そういう理由ならばわかるの。けどそうじゃないのよ。塔に挑んで亡くなるなんて、なんて無益な死に方なのかしら。誰かを助けたわけでもない、それをすることによって世の中が良くなるわけでもない。挑む必要性なんて何もないじゃない。だったら、精霊騎士になるための道標として塔の攻略をする必然性なんてないじゃない?」
「塔に挑むことで得られる女神様の祝福があります。その恩恵により僕たちは今よりも強くなれる。貴方たちの要望では、塔を完全に封鎖し今後誰も入れないようにするというものだ。例えどれだけ本人がそれを望んだとしても」
「そうよ、そうでなければ意味がない。だって娘は自ら望んで入ったのだもの。選択肢として完全に消失させなければ意味がないの」
「それでは……っ!」
 ジーンは苦しげに訴える。
「それでは僕は永遠に先生に追いつけなくなってしまう!!」
 もっともの訴えだとミモザも思マカ サプリう。先人達は女神の祝福を受けているのに、これからの若者はそれを受けられなくなる。それは世代間に大きな実力差という溝を作るだろう。
「それでも」
 しかしジェーンは静かに告げた。
「私は騎士になる以前に摘まれてしまう芽のほうが罪深いと思うわ」
「………っ!それは!」
「貴方にも、貴方を心配してくれる人はいるでしょう?それこそ貴方の先生は?ご両親は?貴方が塔に挑んで亡くなったら悲しむのではないかしら」
「そんなっ、そんなのは…っ!くそっ!」
 ジーンは悔しげに俯く。 
(なるほど、確かに『厄介』だ)
 その言葉を明確に否定できる人間は少ないだろう。
 その時、彼女はミモザの方を見た。お互いの目があったことにミモザは少し驚く。彼女は少し笑った。
「さっきから、貴方は何も言わない。……だんまりを決め込むのは楽でいいわね」
 その言葉にミモザは考え込む。
(楽。楽かぁ……)
 確かにおっしゃる通りだ。ミモザは楽だからずっと黙っていたのだ。だってミモザの仕事は死傷者を出さないことで彼女達の説得ではない。
(余計なことを言ってレオン様の邪魔になってもいけないし)
 沈黙は金だ。黙っている限亜鉛の効果り失うものはない。けれど、
「言えません、何も」
 そこでやっと、ミモザは口を開いた。
(けれど、不誠実ではあるのだろう)
 ジェーンの瞳を見つめる。彼女は静かにミモザの言葉を待っている。
「子供を産んだことのない僕には、娘を亡くした貴方の気持ちなどわかりません」
「……っ、貴方には想像力がないの?」
 彼女はわずかに苛立ったようだった。その言葉はミモザにとって意外なものだ。
「想像でいいのですか?」
 思わず素直な疑問が口からこぼれ落ちた。
「よく知りもしない子どもに、想像でわかったような気になられて良いのですか?」
「……っ!」
「それならできますが、きっとそれは貴方の被った痛みとは程遠い。その程度の単純な想像で補えるような悲しみではないのでしょう」
 ジェーンは戸惑ったように黙り込んだ後、何かを諦めたようにため息をついた。
「あなた、馬鹿正直って言われない?」
「正直者ではありません。でもきっと、頭は悪い方です」
「そういう意味じゃないわ。ごめんなさいね、責めるようなことを言って」
 目を伏せる彼女に、ミモザは何かを言わなければならないような気がして口を開く。
「母親の気持ちはわかりませんが、僕はある人の娘なので、娘さんの気持ちは少しわかると思います。まぁ、それも僕の勝手な想像なんでしょうが」
 ジェーン亜鉛の効果は苦笑した。
「どんな気持ちかしら」
「僕の母親がこんな危険な場所にいたら、きっと僕は恐ろしくてたまらない。すぐに安全な場所に避難して欲しいと思います」
「……そう」
 何かを噛みしめるように彼女は俯いた。その表情はミモザからは見えない。
「貴方のお母様は果報者ね」
「いいえ。心労ばかりかけて申し訳ない限りです。あの母親のもとに産まれることができて、僕の方が果報者です」
 そう、そうなのね、とジェーンは噛みしめるように呟いた。それをしばし眺めた後、うーん、とミモザは首をひねる。
「それで、ええと、貴方は僕の意見が聞きたいのでしたね」
 それに驚いたように彼女は顔を上げた。そして困ったように笑う。
「いいのよ、もう。意地悪を言って悪かったわ」
「いいえ、この際だから言いましょうか」
 ミモザはゆっくりと首を横に振った。そして丁寧に彼女と視線を合わせ、告げた。
「僕は貴方達を卑怯者だと思っている」
亜鉛アントシアニンの効果クロムの効能マカ と は

 レオンハルdha epa

 レオンハルトは英雄である。
 国に被アントシアニン害をもたゴーヤらすボス精霊や狂化個体を撃ち倒し、隣国との親善試合で勝利を収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持クロムの効能ち主だ。
 つまり何が言いたいかと言うと、
 天才は人に物を教えるのに向かない。
 その事実をミモザは今実地で味わっている。

 彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
 それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
「人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
 衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならないぞ!」
 かくして地獄の鬼ごっこの幕が開けた。
クロム
 再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザはそれを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じように攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
 どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
 貴方のほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
 また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つになる。
 ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
 遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
 レオンハルマカ サプリトが犬歯を剥き出しにしてにぃ、と笑う。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
 ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
 学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
 その瞬間、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
 手の中からメイスが消えている。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
 近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
 パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームのdha中でミモザが使っていたものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
 ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
 しげしげと内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
 そりゃそうだ。
 どれもゲームの中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
 ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
 嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなければな」
 言っているこクロムとはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。ようはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
 その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
 しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
 レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……」
「先ほどので君は追い詰められれば本領を発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
 そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼこっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
 そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
 一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
 笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
亜鉛 サプリdha亜鉛 サプリ

 レオンハルト・ガゴーヤ

 レオンハルト・ガードナーは英雄である。
 それはガードナー家の使用クロム人であり侍女頭であるマーサも認めるところクロムだ。
「ねぇねぇ見た?」
「何を?」
「何をってあなた!この間の練習試合よ!」
 きゃあきゃあと出先の店先で若い娘達が黄色い声ではしゃいでいる。
「レオンハルト様の勇姿!格好良かったー!」
「いいなぁ、わたし抽選が外れちゃって訓練場に入れなかっマカ サプリたのよ」
「試合見学の市民への開放は教皇聖下のご提案でしょ?本当に良かったとは思うけど抽選式なのだけが玉に瑕よね」
「仕方ないわよ!すごい人気だもの!」
 彼女達はうっとりと目を細めた。
「レオンハルト様の格好いいこと」
「強いのにお優しくて」
「爵位を賜って偉くなられたのに気取ってなくて」
「うちの亭主と交換したいくらい」
 きゃー、と歓声があがる。
「あなたそれはちょっと図々しいわアントシアニンよー」
「いいじゃない!ちょっとした願望よ!」
「まぁでも想像しちゃうわよね、平民出身だからワンチャンあるかもって」
 ほう、と恋する瞳でため息をつく。
「そういえば新しい姿絵が出てたのよ」
「やだ!早く言ってよ、買いに行かなきゃ!」
「あなた新婚でしょ?そういうの旦那さんは許してくれるの?」
 その質問を問われた女性は気取った様子で髪の毛をふぁさっ、と手で流した。
「絵付きのお皿を買うのは止められたわ!」
「あー…」
「それはねー…」
「高いし嵩張るからダメだって!あの紙とは違う高級感がいいのに!!」
「せめて目に焼き付けときましょうよ」
 そう言って1人マカ と はが店の一番目立つ位置にでかでかと飾られた平皿を指差す。その皿には華美な装飾が施されており、その中央には剣を抜いたレオンハルトの絵がでん、と描かれていた。じつに実用性が無さそうな皿である。
「………」
 マーサは四十肩ぎみの肩をとんとんと叩きながらその光景を白けた目で見る。マーサの守護精霊の小鳥もしらっとした目で見ていた。
「あいよ、マーサさん!おまちどう!」
 マーサが用があった青果店の店主がやっとお目当ての果物を手に戻ってきた。店先に在庫がないからと取りに行ってくれていたのだ。彼はマーサの視線の先を追って「ああ」と納得したように頷いた。
「すごい人気だよなぁ、あの店の前はいつも若い娘さんでいっぱいだよ」
「恋は盲目とは言うけどねぇ、夢見すぎじゃないかしら」
「何を言うんだい?実際夢マカ サプリの中から出てきたような人じゃないか。実は俺、いつだったか仕入れに出かけた先で助けてもらったことがあるんだよ。野良精霊に襲われてよ。いやぁ、評判通りのいい男だったよ」
「……そうかい」
 マーサは果物を受け取って、心中だけでつぶやく。
(実際近くにいるとかなり無愛想な人だけどねぇ)
 やれやれとため息をつくとマーサは重い足取りで屋敷へと歩き始めた。

 マーサの勤める屋敷の主人であるレオンハルト・ガードナーという男は裏表の激しい人物である。
 表向きは非常ににこやかで紳士的な好青年だ。しかし身内だけの場や屋敷の中になると、とたんに寡黙でぶっきらぼうでとにかく重苦しい空気をただよわせた暗い人物に変貌するのであった。どちらが素なのかなど確認する必要性も感じない。
「ああ、マーサ。旦那様がお呼びだったよ」
 重い荷物を抱えて帰ってそうそうに、同僚の男はそう告げた。醜いあばた面のその男は名前をジェイドという。
 小さい身長にずんぐりむっくりとした体格、瞼の重い目にぶつぶつとできものの浮きアントシアニン出る浅黒い肌。どこからどうみてもゲコゲコと鳴くあれにそっくりの男だ。ジェイドという名前の由来なのだろう瞳の緑色だけが美しいが、その美しさがかえって目玉を強調してぎょろっとした印象を与えている。その首には守護精霊の瞳の色と同じ緑の蛇がとぐろを巻いていた。
 見た目同様の陰気な男で使用人達の集まりにも全く参加しないことで有名だ。しかし彼は主人からの信頼をもっとも得ており執事長としてこの屋敷を取り仕切っていた。
「一体なんの用だかねぇ」
 ジェイドに向かって話しかけたつもりだったが、彼は気がつかなかったのか無視したのかそのまま無言で立ち去ってしまう。
 マーサはため息をつくと荷物を置いて主人の部屋へと足を向けた。
 深い赤色の絨毯のひかれた廊下を歩く。屋敷の中はどこも綺麗に掃除をして換気もされているはずなのに主人の気質にでも倣っているかのように重苦しい印象を受ける。
 必要最低限の用事以外の来客のない屋敷である。もう少し人の出入りがあれば明るい雰囲気を取り込めるような気もするのにあの人嫌いの主人にそのような進言のできる関係性の使用人などはいない。
 大きく重厚なドアをノックする。物理よりマカも心理的な重みのあるドアの向こうから入室を許可する声が響いた。
「失礼致します」
 なるべく音を立てずに部屋の中に滑り込むと、屋敷の主は執務机に腰を掛け、いつも通りの仏頂面で書類を睨んでいた。
「マーサ、弟子をここに招くことになった。部屋を準備してくれ。位置は…、そうだな、俺の私室の近くにしてくれ」
 目も合わせず淡々と用件だけを告げる。
(弟子……?)
 そんなものがいたのか、とは勿論口に出さないし出せない。
「性別はどちらでしょう?何か特別に用意するものなどはありますか?」
「性別は女だ。年齢は12。普通に寝泊まりできるように整えてくれればいい」
「承知致しました」
 頭を下げながら「女かー」とマーサは内心で嘆いた。この主人に若い娘は鬼門だ。一体何度若い娘がこの屋敷に期待に胸を膨らませて訪れ、期待を裏切られて去っていったことか。今残っている使用人は年嵩の者か、はなからそういった興味がない者だけだ。
(まぁ、この人自身が見つけてきたのなら大丈夫か)
 半ば自分に言い聞かせつつ、厄介なことになりませんように、とマーサは祈った。
アントシアニンの効果dha epa dhaマカ サプリポリ ペプチド

「省エネだなdha epa

「省エネだな」
 訓練の途中、レオンハルトはそうつぶやいた。
「え?亜鉛
「君の戦い方アントシアニンのことだ」
 おそらく休憩に入るつもりなのだろう。構えていた剣を下ろし、彼は軽く汗を拭う。
「君の使う技はどれも形態変化だ。衝撃波についても俺は斬撃マカ と はを形にして飛ばすのに対し、君は触れたものに衝撃波を叩き込むスタイルだろう」
 それを見てミモザはその場に座り込む。正直もうへとへとで立っているのがキツかったのだ。
 そんなミモザを彼は見下ろした。
「君の攻撃はことごとく何も作り出さない」
「……はぁ」
 ディスられているのだろうか、とも一瞬思ったが、声のトーンと態度からおそらく違うのだろう。彼の瞳に映る感情は、感dha epa dha心だ。
「無から有を生み出すのと、すでにあるものを利用するの、どちらがよりエネルギーを消費するかなど言わなくてもわかるだろう?3時間ほど打ち合っているが、君の魔力はあまりにも減っていない」
「それはレオン様も……」
 特に魔力切れを起こしている気配はない。MP量の見えないミモザではわからないが、まだまだ余裕そうに見える。そんなミモザを師匠はじっとりと睨んだ。
「俺はペース配分をしている。しかし君は何も考えず全力で打っているだろう」
「…dha…うっ」
 図星だ。ぐうの音もでない。
「…にも関わらず、MP量を見てもいつまでもゆとりがある。君の元々の魔力量はそこまで多いわけではないにも関わらず、だ」
 当たり前のように金の祝福を授かっているレオンハルトである。
「つまり君の攻撃は使用するMP量が極端に少ない。おそらく1~2程度しか使っていないんじゃないか」
「……はぁ」
 褒められているのはなんとなくわかるが、わからない。それはそれだけ一撃に威力がないということと同義ではないだろうか。
「つまり君は人よりも長く戦える。持久戦が君の強みだ。一撃で倒す威力はないが、じわじわと相手の体力と魔力を削って疲労したところでとどめを刺せ」
 そこで悪巧みをマカ サプリするようにレオンハルトはにんまりと笑った。
「まぁ、君自身がへばらないように、それに耐えられるだけの体力と筋力をつけなくてはな」

「おかしい、なぜだ」
 ロランはぜいぜいと肩で息をしながらぼやいた。
 それを見て、ああ魔力と体力が尽きてきたのだな、とミモザは悟る。
「なぜ魔力が尽きない!小娘!!」
「……僕マッチョなんで、こう見えて体力が、」
「肉体の問題じゃない!魔力だ!こんなに長時間戦って、常人の魔力が持つはずがっ……!!」
 うーん、とミモザはうなる。なんて言おうか考えて、結局シンプルに言った。
「僕、持久戦が得意なんです」
 というより、それ以外得意なものがない。
 ロランはこちらを睨んでいる。その足元のおぼつかなさを見て、ミモザはふふ、と笑った。
 どうやら仕込んだ毒もうまく回ってきたようだ。
 ミモザが唯一目覚めた属性攻撃アントシアニン、それは『毒』だった。
 しかしそれは前述した通り強力なものではない。せいぜいが身体が少しだるくなる程度のものだ。それも4~5時間で治ってしまう。
(でも充分だ)
 長期戦で相手を疲労させて戦うスタイルのミモザにとって、わずかでも弱らせやすくするその属性は決定打にはならないが相性がいい。少しでも相手の判断能力や体力を下げられれば儲けものである。
 ちなみに毒を仕込んだのは最初の一撃目。ロランの目元をかすった時である。ゲームのミモザは毒を空気中に放出していたが、その方法では明らかにMPを食うため棘から注入する方式へと訓練で切り替えていた。すべてミモザの長所を活かすためである。
「これから、貴方にはへとへとに疲弊していただきます」
 ミモザは言う。
「何時間でも何日でも何週間でも何ヶ月でも、戦い続けられるように僕は修練をつんできました。貴方はここから逃げることもできず、勝つこともできない。疲れ果てたままここで戦い続け、そして…」
 ミモザの仕事はここまでだ。仕込みは上々、舞台は整えた。
 ここ亜鉛 サプリで敵を倒すべきはミモザではない。のちのちの事後対応を考えれば、彼を倒すのはわかりやすい皆の『英雄』であるべきだ。
「最後は、聖騎士レオンハルト様に倒されるのです」
 その時ロランの背後に人影が現れた。ロランがギョッとしたように飛び退く。
「待たせたな、ミモザ。状況は?」
 そこには英雄の姿があった。
 豊かに流れる藍色の髪に意志の強い黄金の瞳、そして堂々たる体躯の英雄の姿が。
 ミモザはうやうやしく頭を下げる。
「彼が保護研究会の一員で、被害者遺族の会の方々を殺そうと企んでいたようです」
「……そうか。どうやら俺の可愛い弟子にしてやられたようだな、ご老人」
 槍を構える老人の異様に疲れた様子を見て、レオンハルトは悪辣に笑った。
「この子はなかなかいい仕事をするだろう」
「おのれ、レオンハルトオオオォォォッ!!」
 ロランの槍から稲妻が走る。レオンハルトはそれを炎で迎え撃ち、そして、
 視界が真っ白に染まった。
マカ と はクロムの効能ゴーヤ チャンプルー