レオンハルトからアントシアニンの効果

 レオンハルトから見て弟子であるミモザはバカである。
 いや、決して頭がゴーヤ チャンプルー悪いわけではない。ないのだが、なんというか行動がバカだ。
(何をやっているdha epa dhaんだ、一体)
 窓からは爽やかな早朝の光が差し込んでいた。小鳥はピチュピチュとかなんか楽しそうに鳴いている。
 実に麗しい朝の光景だ。
 目の前にぶら下がる大量の謎の黒いぼんぼんと、それを脚立に座って黙々と量産する弟子の姿がなけれdha epaばの話である。
 レオンハルトは自らの寝室の惨状を見てベットの中で盛大にため息をついた。
「何をやっているんだ、君は」
「あ、おはようございます」
 師匠の目覚めに気づいた弟子は嬉しそうに目を細めて笑う。小首をかしげて振り返った拍子に髪が揺れて柔らかなハニーブロンドが陽の光を反射した。
 その光景はたいそう良い。
 見た目だけは一級品の弟子がとても美しいのは眼福で素晴らし亜鉛 サプリ おすすめいのであるが。
「何を、やっているんだ、君は」
 レオンハルトは再度ゆっくりと区切りながら弟子に問う。
 それにああ、と軽くうなづくと彼女は実に真剣に自明の理を語るのがごとく堂々と告げた。
「おまじないです」
 レオンハルトはすんでのところで舌打ちを飲み込んだ。
 それなりに出来のいいはずの弟子はどうにもこの『おまじない』とやらに傾倒しており、時々こうしてレオンハルトには理解しがたい珍妙な行動にでる。
(業務に従事している間は問題ないのだが)
 ため息と共に布団を避け、ベッドに腰掛けた。
 彼女はレオンハルトの指示には忠実ゴーヤ チャンプルーだ。修行だって真面目にこなす。しかしちょっと放っておくとこれである。
「今度は一体なんのおまじないだ」
「幸運のおまじないです」
「幸運?」
「はい」
 美しい弟子は楚々と近づいてくるとレオンハルトの髪を丁寧にすきながら、本日の服を示してみせた。
向かって右側は私用の際に着る礼服、左側はいつもの正装である軍服である。
 2つハンガーにかけて並べて提示されたそれを見て、今日は再び教会へ行かなくてはならないことを思い出しレオンハルトは向かって左側を無言で指で指し示す。それに彼女は軽くうなづくとその服を手に取り着替えを手伝い始めた。
 問題ない。本当に、業務に従事している間は実に文句のつけようのない仕事っぷりである。
 『おまじない』さえなければ。
 こんな非合理的なことはやめろ、と一刀両断しよdha epaうとしてレオンハルトは口を開き、
「レオン様の今日がきっと良い日でありますようにと思いまして」
 すんでのところで口をつぐんだ。
 これである。
 これのせいで未だにレオンハルトは弟子の奇行をやめさせられないのであった。
 ミモザはそんなレオンハルトの心中など察さずテキパキと準備を進めている。最後の仕上げにハンカチをそっとポケットへと入れられた。
「………」
 レオンハルトは知っている。そのハンカチにもびっしりと『おまじない』の文言が刺繍されているのを。
もはやその犠牲者はレオンハルトの所有するハンカチの8割を超えていた。10割に達する日も近いに違いない。
(まぁ、誰が悪いかと言えば俺が悪い)
 一言やめろと言えばやめるのだ、ミモザは。
 ハンカチにしても一応刺繍をする際に報告は受けていた。その時に咎めなかったレオンハルトの責任である。
 まぁ別に大して困ることもないし、と内心で言い訳をする。
 せいぜいがハンカチを人に見られた際に気まずい程度のことである。
 食事のマカ支度をしに食堂へと足早に向かうミモザの後ろをゆっくりと歩きながら、レオンハルトは今日のハンカチを取り出して眺めた。
 そこには古代語で『どうか風も波も日の光も、貴方に優しくありますように』という祝詞が丁寧に刺繍されていた。

 教皇の執務室の窓からは柔らかな光が差し込んでいた。それは女神の描かれたステンドグラスを優しく照らし出し、色のついた光を地面へと映し出す。
「申し訳ありませんね、レオンハルト君。連日呼び出してしまいまして」
「いいえ」
 レオンハルトは優しく微笑むオルタンシアに簡潔に首を横に振ると報告書を差し出した。彼はそれを受け取り中身をパラパラと見ると「確かに」と頷く。それは昨日のミモザが行った野良精霊退治の報告書であった。昨日教会を辞した後にわざわざ自宅まで伝令が来たのだ。いわく『報告書の提出を明日の昼までにして欲しい』と。
(まぁ、方便だろうな)
 目的は別にあるのだろうとレオンハルトは察する。こんな報告書の提出など急ぐ理由が欠片もない。レオンハルトと2人きりで話したい用事があったのだろう。
 レオンハルトとオルタンシアはそれなりに長い付き合いである。ゴーヤ チャンプルーレオンハルトがまだ騎士ではなく精霊使いであった頃、その才能を見いだし騎士になるようにと勧めたのがオルタンシアなのだ。
 興味がなさそうに、しかし一応用件を聞くために立ち去ることをせずその場に留まるレオンハルトに、彼は苦笑した。細いすみれ色の瞳がきゅっと更に細まる。
「そう嫌そうな顔をしないでください。まぁ怒られそうな気はしていますが」
「そんな、俺が貴方に怒ることなどありえません」
 レオンハルトの優等生然とした返事にオルタンシアは気まずげに頬をかいた。
「これを見てもそう言えますか?」
 どさどさどさ、と音を立てて机に分厚い冊子のようなものが積まれる。目線で中を確認してよいかを尋ねるとオルタンシアは「どうぞ」と手のひらを向けて促した。
 レオンハルトは一番上に積まれた冊子を開ける。
 すぐに閉じた。
 一応他の用件も混ざっていないかと一縷の望みをかけて他の冊子の中身も一通り確認する。
「オルタンシア聖下」
「ふふふふ、いやぁ、申し訳ありません」
 怒られそうなどと言っておきながら、その顔に浮かぶ笑みはどこか楽しげだ。
「お見合い、受けていただけませんか?」
「お断りします」
 間髪入れない返答だった。そのままレオンハルトはすばやく身を翻す。
「では俺はこれで失礼します」
「いやいやいやいや、待って待って待って待って」
 ゴーヤオルタンシアは慌てて身を乗り出すとレオンハルトの服の裾を掴んだ。
「頼みますよ、話だけ、話を聞くだけでいいですから」
「ひとまず聞きましょうか。どういった理由があって俺にこれを?」
 オルタンシアは真面目な顔になった。そのまま深刻そうに手を組んで告げる。
「いやね、結婚をすることで君の生活にも張りとゆとりと充実感がー…、待って待って待ってください、まだ帰らないで!」
 レオンハルトはとりあえず足を止めると痛む頭を抑えてため息をついた。
 その息は重々しい。
「そのような気遣いは不要です。ご存知でしょう。俺はそういったことが不得手だ」
「まぁそれは知っていますが、こういうのは慣れだと思うのですよ。それに正直、誰かを選ばねば今の面倒な状態はずっと続きますよ」
 『面倒な状態』の心当たりに思い当たってレオンハルトは危うく舌打ちをしそうになる。自宅の執務室には貴族の令嬢からの縁談の打診や交流会の誘いが大量に積んであった。そのレオンハルトの反応にオルタンシアは苦笑する。
「君には貴族より平民の女性の方が合うと思うのです。ですので、教会騎士団の女性騎士はどうかと」
「………」
 貴族がレオンハルトを取り込みたがっているように、教会側もレオンハルトを引き込みたがっている。正直レオンハルトはオルタンシアのことは仕事人として尊敬している。とても優秀な方だ。これまで色々と世話になったこともある。だから教会寄りのスタンスを取っているという部分もあるのだ。しかしそれとこの話は別である。
 レオンハルトは、自身が誰かゴーヤから愛されているという確信を得たことがない。
 幼い頃に一度カーラからは愛されているのではと思ったことはあった。しかし彼女は結局自分と自分の息子のためにレオンハルトのことを切り捨てた。それを責めるつもりはない。実に適切な対応であったと思う。レオンハルトが逆の立場であったなら迷わずそうするだろう。しかし彼女とレオンハルトの関係性がその程度であったことは確かな事実である。
 好意を伝えられたことはある。情熱的に求められたことも尊敬されたこともある。しかしそれは全てレオンハルトの持つ能力と地位、名声に対するものであって、レオンハルトというどうしようもない人間に対するものではなかった。
 今回の釣り書きの女性達も同様だろう。もしかしたらレオンハルトがこういう人間性の持ち主であることを知らず、聖騎士として愛想良く振る舞っている時の姿しか知らない可能性もある。そんな人間が妻としてそばにいるなど全くもってぞっとしない話だった。
 もしレオンハルトが怪我や病気で役立たずになった時、きっとそばには誰も残らないだろうとレオンハルトは確信している。それはしょうがないことだ。だってレオンハルトにはそういう人間関係しか築けないのだ。
 人と関わるのは疲れる、相手の都合に合わせるのは時間がもったいない、腹を割って話すなど気持ちが悪い。
 そんな人間を大切に思う人などいない。
(いや、もしかしたら)
 彼女ならば違うだろうか。レオンハルトのことを好きと言った少女。泣きそうな顔で恩人だと言った。役に立ちたいと言い、いまだに挫けずレオンハルトについて来て、レオンハルトがどんな態度を取ろうが失望するそぶりを見せない彼女ならば。
 レオンハルトはハンカチの入ったポケットを無意識に握りしめる。
 彼女ならば、レオンハマカ と はルトが役立たずになった後もそばに居続けてくれるだろうか?
(愚かな思考だ)
 レオンハルトは自身のあまりにもらしくない考えに頭を振る。
「申し訳ありませんが、貴方の頼みでもこのような話は受けられません」
「……そうですか」
 深く自分の思考へと潜り込むようにしながら少しうわの空でそう告げるレオンハルトのことを、オルタンシアは探るような冷静な眼差しで見つめていた。
マカ サプリ亜鉛の効果サプリメント マカクロム

 そこは森の中だっアントシアニン

 そこは森の中だった。
 青々と生い茂亜鉛 サプリ おすすめる木々や草花、頭上まで覆う木の葉の隙間から木漏れ日が溢れるクロム
 どこか遠くで鳥の鳴く声がしていた。
 ミモザはあたりを見渡すと遠くに何か光る物が見えた気がしてそちらに近づく。そこにあったのはーー、
「聖剣…ゴーヤ チャンプルー…」
 木々や草花がそこだけ生えるのを避けたかのような森の中の突如開けた空間に、その何の変哲もない剣は刺さっていた。
 近づいてしげしげと眺める。
 ごくり、と一つ唾を飲み込んだ。
 ミモザはそれに手をかけると、勢いよく一気に引き抜いた。
「………抜けた」
 思わずぽかんとする。しかし何か力が湧いてくるような気配はない。
 どうしようかな、と剣をぷ亜鉛らぷら振ってみると
『何のために力を望む』
「うおっ」
 剣から声がした。もう一度振ってみる。
『何のために力を望む』
 まったく同じセリフがきた。
(なんか、あれに似てるな)
 ボタンを押すと決まったセリフを喋ってくれる人形みたいだ。
 ミモザはもう一度振ろうとして
『振るな。何のために力を望む』
 注意を受けた。どうやら録音された音声が再生されているわけではないらしい。
 ミモザは周囲を見渡して誰かが近くに潜んで腹話術をしていないかを確認してから、小さく一度息を吸って、言った。
「奪いdha epa dha返すために」
『何を?』
 その質問にちょっと悩んで、告げる。
「僕の、生きる価値を」
 しばしの沈黙が落ちる。ミモザはあまりにも正直過ぎたか、と少し後悔した。
 あまりに利己的で小さな動機だ。
 世界を救うためじゃない。誰かを助けるためでもない。
 自分自身を、満足させるためだけだ。
 たったそれだけのことに命を賭けている。
 自分のちっぽけで、あまりの小者ぶりに笑えてくる。
 そこまで考えて、ふともう一つ思いついた。
「大切な人を守るために」
 レオンハルト。
 ミモザの脳裏にあの藍色の髪と金色の瞳がちらつく。
 彼が死んでしまったり、狂化に飲まれてしまう運命さえ変えられれば、例えミモザがどうしようもない奴でも、例亜鉛 の サプリえミモザが聖騎士になることに失敗したとしても、上出来ではないだろうか。
 ミモザは微笑む。
 先程の自嘲の笑みとは違う、それはとても穏やかで見る者の目を奪うような満ち足りた微笑みだった。
『ふむ』
 聖剣は考え込むような声を発する。
『動機が不純なのはまぁいいが、魔力が足りんからダメじゃ』
「え、」
『あと不適合者が触れた場合は私はここから解放されることになっておる、感謝する』
「え?」
 そしてばきり、と剣は折れた。
「……………」
 ミモザは折れた剣を見つめて呆然とする。
(魔力の話なんか聞いてない)
 ゲームではそんな設定はなかったはずだ。
「クソゲーめ」
 淡い期待を抱いて損をした。ちぇ、と口を尖らせてミモザは折れた剣を投げた。それはミモザがここに入る時に通過した壁にぶつかり、そして通り抜けて消えた。
「いてっ」
 続けて、誰かに当たった音と声がした。
 ミモザは慌てて壁に頭を突っ込んでdha epa異空間の出入り口から外を覗く。
「あー、なんじゃこれは」
「折れた剣みたいだね」
 息を呑む。そこには以前第5の塔で遭遇した老人、保護研究会のロランが頭をさする姿と、その隣で剣の残骸を拾う見知らぬ少年がいた。
 少年はミモザとちょうど同じくらいの年齢に見える。淡い水色の髪に水色の瞳をした中性的な美少年だった。真っ黒い礼服とネクタイという服装と声でかろうじて少年であろうと推察できた。
 にこやかに微笑んでいるように見えるのに、何故だか不吉な印象を与える少年だ。
 ミモザは少し悩むと、彼らが折れた剣に気を取られている隙にそっと異空間から抜け出して彼らの背後へと回った。
 そしてチロをメイスへと変えるとロランへ向けて振り上げる。
「ロラン」
 水色の少年がまるで後ろに目がついてでもいたかのように振り返るとミモザへと杖を向けた。
 そこから風の刃が鋭く放たれる。
「……っ」
 ミモザは素早く後方へと飛んでそれを避けた。
「あっ、おぬしは」
 ロランがミモザを見て声を上げる。
「知り合いかい?」
 少年は親しげにロランに声をかけた。年端もいかない少年が老人に対等な立場で話亜鉛しかける様子はいやにちぐはぐな印象を受ける。
 しかしロランは気にせず少年の問いかけに頷く。
「第5の塔で邪魔をしてくれおった小娘じゃ」
「あーあの、聖騎士の弟子だっけ?」
「そうじゃ」

『どうしてここに?』

 見知らぬ少年とミモザの言葉がかぶった。
 ミモザがメイスを構え、ロランも槍を構えた。その間に立つ少年はまるで降参でもするように両手を上げながらにこりと笑う。
「まぁ落ち着きなよ。ボクは君と敵対するつもりはないよ。今はね?」
「なぜですか?」
「メリットがないからさ。逆に言えば君と仲良くしてもデメリットがない」
 ロランも落ち着きなよ、と彼は声をかける。
「むぅ、しかしこの小娘は……」
「話は君から聞いて知っているよ。なかなかの食わせ者だっていうのはね」
 彼は心得ていると言わんばかりにぱちり、とミモザにウインクをしてみせる。
「でも君も今は手を出す理由がないんじゃない? 僕たちは今、なんの犯罪行為も犯してないんだからさ」
「貴方はともかくそちらのご老人は脱獄犯ですよ」
「まぁまぁ、それだけじゃない」
「大問題なんですけど」
 あの後レオンハルトの機嫌が悪くて大変だったのだ。なだめるのにどれだけ苦労したことか。
 半眼で見やるミモザに、彼は人差し指を顔の前でピンと立てて見亜鉛 サプリ おすすめせると「聖剣」と呟いた。ミモザはぎくりと肩を揺らす。
「こんなところで遭遇するなんて、それ以外に理由があるかい?」
「なんのことだかわかりませんね」
 そらっとぼけるミモザに「実は随分前からこの場所に目星はつけていてね」と彼は語りかけた。
「けどここから先、聖剣の取り出し方がわからなかったんだ」
 先ほどミモザが投げ捨てた折れた剣を彼はかざして見せる。
「これ、壊れているけど聖剣だよね? そしてこの剣の出現と同時に君は現れた」
「……僕はただの通りすがりです」
 苦しいがミモザとしてはそう言ってしらをきるしかない。ここで認めるのは悪手だ。
 ふむ、と彼は一つ頷く。
「質問を変えよう。ここに来るまで手掛かりとしてあるはずだった石碑がすべて破壊されてたんだよね」
「あ、あー……」
「知らないかい? 石碑」
「知りません」
「ほんとーに?」
「知りません!」
 しばし、じぃっと彼はミモザのことを疑わしげに見つめた。ミモザは必死で目線を逸らした。
「………」
「……………」
「…………………」
「………………………すみません、それあげるんで勘弁してください」
「やっぱり壊したのは君だったか」
 まぁここに三人しか人がいない以上、その中の誰かが犯人なんだけどね、と少年は肩をすくめる。
「ボクとロランが違えば君しか犯人いないよね」
「他の第三者かも知れないじゃないですか」
「本気で言ってる?」
 もちろん、本気では言っていない。悪あがきをしてみただけだ。
「ご先祖様の手記には場所の手がかゴーヤ チャンプルーりは書いてあったけど取り出す方法は書いてなかったんだよね」
「ご先祖様?」
「そう。ああ、そういえば名乗ってなかったね」
 そういうと少年は綺麗な礼をしてから黒い五角形を取り出して見せた。五角形の一番上の角に金色の印がついている。
「ボクはエオ。保護研究会の五角形のうちの一角だよ」
 彼は美しく微笑んだ。
 その名前にミモザは聞き覚えがあった。
「貴方がバーナードの言っていた……」
「……ああ。彼を捕まえたのも君なのか」
 彼の言葉にしまったとミモザは迂闊な発言を後悔する。
(敵だとみなされただろうか)
 いざとなったら逃げ出そうと片足を後ろに下げたところで、彼はそれに気づいたように苦笑した。
「ああ、気にしなくていいよ。保護研究会のメンバーはそれぞれ独立していて仲間意識は薄いんだ。一角が削れたって別の誰かがそこに補充されるだけだからね」
「……はぁ」
 それはなんとも薄情な話である。
 しかしロランは彼とは異なる意見なのか案ずるように「バーナードはどうなった?」と尋ねてきた。
「……今は牢屋に収監されていますよ。しかし犯した罪が罪ですから。近いうちに死刑が確定するでしょう」
「……そうか」
「おっと、そういえば例外がいたねぇ。君はみんなと仲が良かった」
 呆れたように、しかし許すように微笑んでエオは言う。
「そうだな、君が望むなら彼のことを牢屋から連れ出してあげても構わないよ。君のことを連れ出したようにね」
(エオがロランのことを脱獄させたのか)
 ミモザは驚く。どうやら二人はそれなりに親しい仲のようだ。ロランは彼の提案に少し悩んだ後、
「いや」
 と首を横に振った。
「助けに行くならわしがアントシアニン行くからいいわい」
「それは良くないなぁ」
 それにエオは難色を示す。
「君の脱獄があってただでさえ警備は強化されているし、その上彼は王国騎士団団長の恨みを買っているからね。君が行ったら一緒に捕まるのがオチだよ」
「む、む……」
「行くならボクと一緒だよ。それ以外は認めない」
「むぅ……」
 ロランは困ったように眉を寄せ、結局「少し考えさせてくれ」と結論を見送った。
 どうやらこの二人に関しては主導権はエオが握っているらしい。
 エオはこちらを見ると「脱線しちゃったね。なんだっけ? 自己紹介だったっけ?」と首をひねった。
「もうお名前はお伺い致しました」
「そうそう、そうだったね。ちなみに本名はアイウエオだよ。長いからみんなエオって呼ぶんだ」
「50音じゃん……」
 その補足情報に思わずミモザは小声でつっこんだ。
「え、」
「ん?」
「あ……」
 ミモザはぱっと自分の口を両手で塞ぐ。
 エオと名乗った少年はそれを面白そうに眺める。
「君、この音の並びに心当たりがあるの」
「ありません、ありません」
「ふーん?」
 ミモザは冷や汗をだらだらと流す。
(なんで日本語の50音が名前なんだ……?)
 全くもって意味がわからない。
「ゴジューオンって、なんじゃ?」
 二人のただならぬ様子にロランが首を傾げる。
「うふふ、なんだろうねぇ」
 明らかにわかっている様子のエオはにやにやと言った。
「ちなみにこれはご先祖様の手記に記されていた音でね、50文字が5から3文字のまとまりで記されていたものだよ」
 やっぱり50音表だった。
「ここから順番にうちの人間は名付けられることになっている。ちなみにボクは一人っ子だけど弟が生まれれば名前はカキクケコになっていたはずだよ」
 あまりに雑過ぎる名付け方だ。そしてやっぱり意味がわからない。
 エオの言った情報が本当だったとして、日本語の知識があったのはエオではなく先祖だったということになる。
マカ サプリ(そういえばご先祖の手記に聖剣の場所の手がかりが書いてあったって言ってたな)
 ということはエオの先祖はゲームのプレイヤーだった可能性が高い。転生なのか転移なのかはわからないが、それに類する何かなのだろう。
 そこでふと、ミモザは思い出した。
「あのぅ、もしかしてなんですが……」
「うん?」
 エオは促すように顎を上げる。
「貴方のご先祖様って、ハナコ・タナカ様って名前じゃありませんか……?」
 以前聞いた150年前の異世界チートのお方である。
 その質問にエオは目を見張ると「驚いた」と口にした。
「その通りだよ。よくわかったね」
「ははは……」
 なるほど、納得である。
「ボクはフルネームをアイウエオ・タナカというんだよ」
 聞けば聞くほどふざけた名前だ。しかし日本の知識がない人間は少し変わった名前としか思わないのだろう。
「それで? えーと、君は……」
「あ、ミモザです」
「ミモザちゃん、君は何者なのかな?」
 にやにやとエオは察しがついているように尋ねてきた。
「えっと、僕はレオンハルト様の弟子で……」
「うん、知ってる」
「えーーーーとっ」
 ミモザの思考はぐるぐると空転する。彼は敵か味方かというと敵寄りの人間である。
(ーーというか)
 はっとミモザは気づく。
(彼は主人公の攻略対象では?)
 確か保護研究会にも一人いたはずだ。天才キャラだったと記憶している。
 立場の強そうな美少年。その上、日本の知識あり。
(攻略対象な気がする)
 しかし確証はない。記憶があやふや過ぎてわからないのだ。
「うふふ」
 黙り込むミモザをどう思ったのか、エオは笑うと折れた聖剣を振って見せた。
「まぁ、これの提供に免じて今は君の正体は暴かないでおいてあげよう」
「ありがとうございます」
 普通に助かったのでミモザは平身低頭した。
ゴーヤ亜鉛の効果亜鉛の効果dhaマカ

 天高く掲げられた亜鉛の効果

 天高く掲げられたレイピアが振り下ろされるアントシアニンの効果
(まずい……っ)
 ミモザはとっさに防御形態を構亜鉛の効果えた。間一髪、そのレイピアから放たれた光の帯がチロの盾へとぶつかり爆ぜる。
「ぐ……っ!」
 その攻撃の重さにうめく。彼女の最強の魔法、光線銃(レーザービーム)だ。
 この魔法は主人公であるステラの必殺技でアントシアニンの効果あり、MPの消費量と溜め時間の長さによって威力の上がる技である。ゲーム中の戦闘場面で使うものは威力が少なかったが、ボス戦などのイベントでとどめを刺すモーションの際のアニメーションで使用される時の威力はとんでもなかった。だいたいは仲間の男性勢がステラが溜める時間を稼ぎ、技を放つ、といったパターンだ。それはそれは巨大な精霊の胴体に風穴を開けるぐらいとん亜鉛 サプリ おすすめでもなかった。普通にミモザが食らったら死ぬし卒業試合なんかで出していいものではない。
(う、撃ちやがった……)
 ミモザが防げなかったらどうしていたのだろう。きっと今頃スプラッタな光景が校庭には広がっていたはずだ。まぁそれを言ったら卒業試合そのものが物騒極まりないが、しかし使われる技の多くは寸止めが可能であるかあたっても死なない程度のものに配慮されている。
 ちらり、とミモザが審判の教師を見ると彼はちょっと顔を引き攣らせて引いていた。引くくらいならば止めて欲しい、切実に。
 正直、王都のマカ サプリ御前試合ならともかく、今回の試合では出てこないと思っていた技だ。
(これは早々に片をつけないとダメだ)
 じゃないと死んでしまう、ミモザが。
「すごいわミモザ。簡単に防げてしまうのね」
 周囲に花を飛ばして無邪気に笑う姉に、ミモザはぞぞっと身を震わせた。ミモザがうっかり死んでしまっても「あら死んじゃったわ、ごめんなさい」で済まされてしまいそうな恐怖を感じる。
(さすがにそんなことはない……、よね?)
 チロはそんなことあるだろボケェ、とメイスの姿のまま身を震わせてミモザに訴えてきた。
 ふぅ、と自分を落ち着かせるように息を吐く。そしてその深い湖面のような瞳で、ミモザは冷静にステラのことを見据えた。
 ミモザに勝機があるとすれば、それは一つだけだ。
 それはーー、
「筋肉こそ!最強!dha!」
 気合いと共に一気に距離をつめる。氷の破片が襲ってくるが、それを避けることはせず、全てメイスで叩き壊した。長距離戦では勝ち目がない。勝つためにはなんとか近距離戦に持ち込まねばならない。ステラもミモザの狙いを悟ったのか氷を放ちながら距離を取ろうと動くが、遅い。ミモザはずっと鍛えてきたのだ。
 筋トレを欠かさず行ってきた。走り込みだって毎日続けている。そして戦闘経験ならば圧倒的に積んでいる。その分の筋力が、速度が、判断力が、ミモザにはある。
 ミモザはそのまま懐へと飛び込むと、メイスでレイピアを殴りつけた。ただでさえ重量級の武器である。遠心力で勢いがついているし、なによりも、
「筋トレの成果を見よ!」
 ステラよりもミモザのほうがマッチョである。
 ステラが防御形態を展開しようとするが、もう遅い。
 ミモザはステラのレイピアを殴り飛ばした。
「……いっ!」
「筋肉の、勝ちだーっ!!」
クロム レイピアが空を飛ぶ。姿勢を崩し、動揺してそれを目で追うステラの喉元にミモザはメイスを突きつけた。
「…………っ」
「しょ、勝者、ミモザ……」
 審判の声は半信半疑だった。誰もがステラが勝つと思っていたのだ。まさか落ちこぼれで不登校なミモザが、優等生のステラに勝つだなんて誰が想像しただろうか。
「お姉ちゃん」
 はぁはぁと息を整えながら、いまだに呆然と吹き飛ばされたレイピアを眺めるステラをミモザは呼ぶ。
 彼女は信じられないという表情で、ゆっくりとミモザを見上げた。
「僕の、勝ちだよ」
 じわじわと、笑みが口元に浮かぶ。口にした途端、勝ったのだと実感した。
「僕はアベルを許さない。だからお姉ちゃんはそのことに今後一切、よけいな口を挟まないで」
 青空を背に、満面の笑顔を浮かべる。それは先ほどまでステラが浮かべていたひまわりのように無邪気な笑顔とは違う。
 邪気を孕んだ、けれど棘を身に纏う薔薇のように、あでやかな笑みだった。

 ミモザは優勝した。
 全校生徒が並ぶ中を、優勝トロフィーを受け取るために悠々と歩く。
 並んでいる中にはアベルはもちろん、他にもミゴーヤモザをいじめてくれた奴らや無視していたクラスメイト達が整列していた。
 それを横目で見つつ、ふん、と鼻を鳴らす。
 壇上にたどり着くと校長が微妙な顔をして木製の小さな優勝トロフィーを持って待っていた。さもありなん。不登校児が優勝するなど前代未聞だろう。
「えー、では、優勝トロフィーを授与する。ミモザ君」
 ごほん、と咳払いして校長はトロフィーを差し出した。
「優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
 ミモザは綺麗に礼をして優勝トロフィーをー…、受け取らなかった。
「辞退させていただきます」
「……は?」
 にっこりと、惚ける校長に微笑みかける。生徒や教員も含め、周囲が騒つくのがわかった。
「僕はこの学校に少ししか通っていません。そんな人間にこのトロフィーはふさわしくないでしょう」
 ミモザの発言にますます喧騒が広がる。
「あ、あー、ミモザ君、そのようなことは……」
「ですのでこのトロフィーは、繰り上げで準優勝のアベルに譲りたいと思います」
 どよめきの声が上がった。
(そりゃあそうだ)
 ふふふ、とミモザはほくそ笑む。
 ミモザとアベルの事件については皆知っている。その被害者が加害者にトロフィーを譲ろうというのだ。ミモザは戸惑う校長からトロフィーと、ついでに卒業証書ももぎ取ると、そのままスタスタと壇上を降りてアベルの元まで亜鉛 の サプリ行った。
「ミモザ……」
「あげる」
 なかなか受け取ろうとしないアベルに苛立ち、そのままトロフィーを無理矢理押し付ける。
 ふん、と鼻を鳴らす。格下と侮っていた相手に勝ちを譲られるというのは一体どんな気分だろうか。
 決勝で戦ったアベルのていたらくといったらなかった。直前の会話に動揺したのか、あるいはステラが負けたことがショックだったのか、その両方か、アベルはろくに実力も出せずに敗北した。まぁミモザは今までの恨みを込めて遠慮なくぼこぼこに殴らせてもらったのだが。
 アベルはその瞳に戸惑いを浮かべたままトロフィーを持ち、「ミモザ、その……、これは……」としどろもどろに何事かを話している。
 その態度をミモザは、どうやら更生は順調に進んでいるのだな、とつまらない気持ちで眺めた。レオンハルトが非常に残念そうに伝えてくれたので疑ってはいなかったが、実際に見るとなるほど、しらけるものだ。
 どんなに真っ当になろうが善良になろうが、ミモザにとってクズはクズのままだ。行った行動はなくならないし今後の行動で帳消しになどなりはしない。しかしクズはクズらしくしてくれていた方が報復しやすいのは確かだった。下手に更生されてしまうと今度はこちらが加害者になりかねない。
(グレーなラインで攻めるしかないかぁ)
 どうやって報復してやろうかと考えていた内容を頭の中で整理する。とりあえず物理的に殴り返すというのは済んだ。あとはもう、まともになってしまったのならばまともなりに、罪悪感を一生感じて苦しんでも亜鉛の効果らうのが1番だろう。
 あれほど恐ろしかったアベルが、急に小者に見えた。なんだか馬鹿馬鹿しくなってミモザはアベルにぐいっと顔を近づける。
「み、ミモザ……っ」
「この学校の人達の評価なんて、僕は欲しくないの」
「……っ」
「偉そうにトロフィーなんて渡されたくないし、認めてもらいたくもない。加害者からは何一つ受け取りたくない。気持ちが悪いから」
 アベルにだけ聞こえる声でそう囁いて、そのショックを受けて青ざめた顔に満足する。
「だから、あげる」
 そう言って無言で立ちすくむアベルを放ってミモザは校門に向かって歩き出した。
 呼び止める声はあったような気もしたが幸い大きな声ではなかったので気づかないふりをした。もう二度くることもないだろうな、と大した感慨もなくミモザは学校を後にした。

「ミモザ」
 学校から出て家に向かっている途中、ふいに声をかけられる。一体どこからと周囲を見渡すと「こっちだ」と再び声がした。
「えっ、うわっ」
 ばさり、と大きな音を立ててそれはミモザの目の前に降り立った。それはレーヴェだ。
 黄金の翼獅子はその背に主人を乗せて空から舞い降りてきたのだ。
 彼は当たり前のような顔で守護精霊から降りるとミモザの前へと立った。
 長い藍色の髪がさらりと流れ、黄金の瞳が笑みを作る。
「レオン様、どうしてここに……」
「今日が卒業試合だと言っていただろう」
 平然と、彼はそれが当たり前かのように言った。
「どうだった? ミモザ」
「…………っ」
 ミモザの胸がじんわりと熱を帯びた。多忙な彼が、わざわざ会いに来たのだ。今日が卒業試合だというだけの理由で。
「勝ちました」
 ミモザは笑う。少し気恥ずかしさ亜鉛 サプリも感じながら、それでは言葉が足りなかったかと付け足す。
「優勝しました」
「そうか」
「でもあいつらが嫌いだったので、蹴っ飛ばして来ちゃいました」
 他の誰かに言えば、きっと咎められる行為だろう。大人げないだとか、試合とこれまでのことは関係ないだろうとか、きっと諭されるに違いない。
(けど、レオン様なら)
 ミモザには確信があった。彼ならきっと、一緒に笑ってくれるに違いない。
 果たして彼は、
「そうか」
 もう一度そう頷くと、意地悪そうに口の端を上げてにやりと笑った。
「さすがは俺の弟子だ。よくやった」
「はい!」
 ミモザは満面の笑みで頷く。努力が報われた? それだけじゃない。ミモザと気持ちを共有してくれる人がいる。そのことがただただ嬉しい。
(きっと大丈夫だ。これからのこともきっとなんとかできる)
 だって、ミモザは卒業試合で初戦敗退どころか優勝し、ステラに負けるという運命に打ち勝ったのだ。
(レオン様がいてくだされば……)
 これからのゲームで起きる出来事もきっと変えられる。そう信じることが今のミモザには可能だった。
ゴーヤ亜鉛マカ サプリゴーヤ

 ガチャン、といdha epa

 ガチャン、という音を立ててその扉は閉まった。
「あ、あなたが悪いんだからね!」
 捨dha epaて台詞と同時にパタパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ちポリ ペプチド去ってしまったようだ。
「うーん」
 閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。
 まず扉を押してみると何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月dha epa明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
 カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
 さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…」
 チロも同意するように頷く。あまりにも詰め亜鉛の甘すぎる監禁だった。
 もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
 一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
 さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」
 人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がなかったことに気がついたが後の祭りである。
 かくして近づいてきたのゴーヤはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
 2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
 考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
 さて気を取り直して、とミモザは窓枠dhaに手と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
 ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
 その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
 が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
 ミモザはその姿にうっ、とうめく。
 彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
 体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
 そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っているゴーヤ チャンプルー
(なんだ……?)
 パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
 ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
 声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
 ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
 探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないで亜鉛の効果あろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
 庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
 これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
 手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
 迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
 教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。

「フラフラついて行くなと言っただろうが」
 ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
 その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」アントシアニンの効果
 はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
 ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
 ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
 さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
 とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
 身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
 ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
亜鉛 サプリ おすすめクロムの効能ゴーヤゴーヤ

「疲れた……」 クロムの効能

「疲れた……」
 よろよろとミモザはレオンハルト邸の扉を開けた。
 なんだかゴーヤ色々と濃い時間を過ごしてしまった。
 とりあえず顔に塗りたくっクロムた染料は泳いでいる間に落ちたが、可能ならお風呂に入ってすっきりしたいところである。
(まずはお風呂、次に何か飲んで、ベッドで寝る)
 やりたいことを夢想しながらふらふら歩いていると、
「ミモザ」
 背後から声がかけポリ ペプチドられた。
「レオン様」
 今は流石に修行する気にはなれないなと思いつつ振り返ると、彼のそばには白い軍服に身を包んだ教会騎士が立っていた。
 嫌な予感がする。猛烈に。
 そしてそんな予感ほどよく当たるものである。
「ちょうどいいところに帰ってきたな。これから教会に一緒に来てくれ」
「えっと、何があったんですか?」
 恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトはいかにも不愉快といった表情dhaで答えた。
「ジーン君とマシュー君が失踪した。おそらくは君の姉、ステラ君のもとにいる」
 ミモザはあんぐりと口を開けた。

「皆さんお聞き及びかとは思いますが、先だっての精神汚染事件の被害者であるジーン君とマシュー君の二名が失踪しました」
 そうオルタンシアは重々しく口を開いた。
 場所はいつも通りのオルタンシア教皇の執務室である。もはや恒例かと思われるメンバーがそこには揃っていた。すなわち、ミモザ、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤである。
「それと同時に、彼らと思しき人物がステラ君と思しき人物と連れ立って歩いている姿が目撃されています。証言では彼らはとても仲睦まじそうな様子だったとのゴーヤ チャンプルーことです」
 ダンッと壁を叩く音がした。フレイヤだ。
 彼女は悔しげな顔で嘆いた。
「ジーン! あれほど変な物は食べないようにと言ったのに!」
「妙だな」
「ええ、妙な話です」
 ガブリエル、オルタンシア両名はそれに冷静に告げる。
「一度目はともかく、二度目です。彼らも馬鹿じゃない。差し出されたものを食べるとは思えません」
「何か別の手法で摂取させられたということですか」
 レオンハルトの問いに、
「その可能性が高いでしょう」
 オルタンシアは頷いた。
(別の手法……)
 ミモザは考える。
(一体どんな?)
 あれは経口摂取以外の方法がないと前回の時にオルタンシアから聞いていた。それもそこそこの量を取らなければならない。そのためにバーナードは飴という形で砂糖で味を誤dha epa魔化して食べやすくしたのだろうとのことだった。
「何にせよ、このまま放っておくわけにはいきません」
「俺が行きましょう」
 その言葉にレオンハルトが前に進み出た。
 金色の瞳が、静かにオルタンシアを見つめる。
「確実に捕えるために」
「……そうですねぇ」
「僕にも行かせてください!!」
 決まりかけそうな気配に、慌ててミモザは挙手して訴え出た。
 姉の関わることで除け者になるなどごめんだ。
(それになにより)
 ミモザはレオンハルトのことを心配げに見上げる。
 ここで何もせず、万が一のことがあっては悔やむに悔やみきれない。
 レオンハルトが戸惑うように彼女を見た。
「ミモザ、しかし……」
「僕にも行かせてください。必ずお役に立って見せます」
 じっと確かめるように金色の瞳がミモザを見下ろす。それに負けじとミモザは見返した。
 しばらく二人は見つめ合う。それは根比べにも似ていた。
「………いいだろう」
 諦めたように先に目を逸らしたのはレオンハルトだった。アントシアニン彼はふぅ、と息をつく。
「レオン様!」
「ただし」
 喜びに口元を緩めるミモザにレオンハルトは釘を刺す。
「俺の指示に従ってもらう。君のことだから大丈夫だとは思うが……」
「はい」 
 レオンハルトの言いたいことを察して、ミモザは静かに頷いた。
「貴方の指示に従います。足は引っ張りません」
「よし」
 レオンハルトは弟子の物分かりの良さに満足げに頷くとオルタンシアの方を向いて「我々で対応します」と告げた。
 それにオルタンシアが頷く前に、ずいっと割り込む人影がある。フレイヤだ。
 彼女は堂々とその豊かな胸を張ると「当然だけど、わたくしも行くわ」と宣言した。
「オルタンシア様」
 そして銀色の目を細めてオルタンシアに問いかける。
「洗脳を解く方法は、薬が自然に排出される以外にないのですか?」
「そうですねぇ」
 それは重要な質問だった。オルタンシアは難しい表情で記憶を探るように目を瞑る。
「……目には目を、歯には歯を、精神には精神を。強い精神的ショックを与えれば目を覚ます例があったと書物には書いてありましたね」
「わかったわ! 精神的ショックね!」
 フレイヤはその情報に鼻息荒く頷く。
(精神的ショックかぁ…マカ サプリ…)
 色々とやりようがありそうだな、とミモザも一つ納得するように頷いた。
サプリメント マカクロムdha

 2人でトボdha

 2人でトボトボと畑に囲まれた道を歩く。まぁ、トボトボしているのはサプリメント マカミモザだけでレゴーヤオンハルトは相変わらずの堂々たる足取りだ。
 ミモザはちらり、と無言で隣を歩く師を見上げた。
「あのぅ、もしかしてなんですが」
「うん?」
 ミモザの言葉を聞くように、レオンハルトは向きポリ ペプチド合う形で足を止めた。ミモザも立ち止まる。
「アベルのこと、嫌いですか?」
 その疑問に彼はにっと犬歯をみせて意地悪く笑う。それはイタズラが見つかった子供のような笑みだった。
「わかるか?」
「えっと、まぁ、そうかなって」
「嫌いだよ、あんな奴」
 そう吐き捨てるように言った後、ふと思い直したように彼は「ああ」と吐息を漏らした。
「しかしそんなにわかりやすかったか、気をつ亜鉛 サプリ おすすめけないといけないな」
「いえ、そこまであからさまではありませんでしたので。でもまぁ、楽しそうだなぁと」
「ふっふ、いやすまない。君にとっては災難だったとは思うのだが……」
 そこでどうにも堪えきれないというようにレオンハルトは笑みをこぼす。それを隠すように手で口元を覆った。
「嫌いな奴を正論で追い詰めるというのは愉快でつい、な。バレないように自重しなくては」
「……あなたにとって幸いであったなら僕も嫌な目にあったかいがあります」
「ここは不謹慎だと責める場面じゃないか?」
 不思議そうに首を傾げるレオ亜鉛の効果ンハルトにつられるように、ミモザも「うーん」と首を傾げた。
 2人は鏡写しのように向き合って同じ方向へ首を傾げる。
「僕1人だったら嫌な目にあったっていうだけの話でマイナスで終わっちゃうんですが、あなたが喜んでくださるなら補填されてプラスの出来事になるじゃないですか。意味もなく嫌な目にあったわけじゃないと思えるので」
「ネガティブなのかポジティブなのかわからない理屈だな」
 まぁ、君らしいか、とレオンハルトは微笑む。
「まぁ、君がそう言ってくれると俺も遠慮なく面白がれるというものだ」
「悪い人ですね」
「言っただろう」
 首を傾げるのをやめてレオンハルトは笑った。
「俺は不公平な人間なんだ」
 それは悪党にふさわしい凄みのある笑みだ。
「贔屓するべきは僕じゃなく家族なんじゃないでしクロムょうか?」
 しかしミモザは首を傾げたままだ。ミモザのその疑問に、レオンハルトは笑みを深めた。
「ふふふ、不思議か」
「二人は仲が良いのだと思ってました」
「まさか。あの能天気で恵まれた弟が疎ましくてたまらないさ。格好悪いから言わないだけだ」
 そうだなぁ、とレオンハルトは周囲を見渡す。辺りに人影はなく、あるのは畑と用水路だけだ。
「食べ損ねた昼食でもどこかでとるか」
「よろしいのですか?誰かに見られたら……」
 ミモザとレオンハルトがぐるだとバレてしまうのではないか、そんな不安がよぎる。しかし彼はそんなミモザの懸念を一笑にふした。
「いじめられて落ち込んでいる子どもを慰めるだけさ」
「なるほど」
 それなら、とミモザは頷いた。

 2人並んで適当な木陰へと座り、畑を眺めながらサンドイッチを食べる。用意したコップには水筒からいつものミルクティーをそそいでいた。
「俺の父親はどうしようもないろくでなしの呑んだくれでな、精霊騎士としては優秀だったようだが酒で問題を起こして軍dha epaを首になってからは更に荒れた。母親は娼婦でこっちも酒癖の悪いかんしゃく持ちでね。幼い頃は二人によってたかって殴られたものだよ」
 遠い記憶を思い起こすようにゆっくりとレオンハルトは語った。その口調は内容とは裏腹に随分とのんびりとしており欠片も悲壮感はない。
「ああ、同情は不要だ。母親は俺が幼い頃にあっさり死んだし、父親も俺の身体がでかくなって敵わなくなると大人しいものだったよ。それに俺は元から両親のことを好きではなかったし、なんの期待もしていなかった。まぁ可愛げのない子どもだったんだな」
 この傷も父親がやったものだ。と右目の火傷跡を見せる。
「幼い頃に、なんだったかな。火鉢の炭だったかなんだったかを押し付けられたんだ」
 ああ、火鉢ってわかるか、中に焼いた炭を入れる暖房器具なんだが、とジェスチャーをし始めるのに、「知ってます」とミモザは頷いた。
「見たことはありませんが、知識としては」
「そうか、正直今では廃れて使ってるのなんて魔導石もろくに買えないような貧乏人だけだろう」
「そうなんですか」
 ミルクティーに視線を落としながらミモザが相槌を打つのに、レオンハルトは苦笑して頭を掻ポリ ペプチドく。
「まぁ、可愛くない子どもは蔑ろにされて当然だ」
 誤魔化すように言われた言葉にミモザは顔をしかめた。
「……当然じゃないですよ」
 全然当然ではない。
「おかしいです」
「……そうか」
 レオンハルトは否定せず、何故かミモザを慰めるように頭を撫でた。慰められるべきはレオンハルトだというのに変な話だ。
「もしまたそのようなことがあれば、今度は僕が守ります」
「すまないが、俺はもう自分自身で身を守れるし君よりもずっと強い」
 そう言いつつもレオンハルトの口元は嬉しげに緩んでいる。ミモザはつまらなそうに口を尖らせた。
「アベルの母親のカーラさんと再婚した頃は一番穏やかだった。たった4年しか持たなかったがね。彼女は賢明な女性だった。親父の『病気』が再燃するとすぐさま切り捨てた。……一応俺のこともアベルとともに引き取るつもりだったようだ。しかしそれは親父が拒んだ。別に俺に愛情があったわけじゃない。カーラさんに嫌がらせがしたかったのさ」
 そこで彼はミルクティーで口を湿らせた。普段こんなに長く話すことのない人だ。どうやら話しずらいらしい。先ほどからあまり視線が合わない。
「2人で王都へ行ってからの日々は最悪だったよ。しかしまぁ、王都にいたおかげで道が開けたとは言えるだろうか。俺は生まれつきガタイが良くて強かdha epaった。しばらくの間は精霊使いとして小銭を稼いで暮らしたよ。王都では需要に事欠かなかったからな。その関連で人に精霊騎士を目指してはどうかと言われてこうなったのさ」
 精霊使いというのは騎士の資格は持たないが精霊で戦うことを生業としている人達のことだ。騎士になるには色々と条件があるため、あえて騎士にならずに精霊使いとして働く人も多い。むろん、資格職なぶん、精霊騎士のほうが収入は安定していることが多いのだが。
 最初弟とカーラに会いに行ったのは安心させるためだったのだ、と彼は言った。
「彼女は俺のことも実の息子のように可愛がってくれていた。だから俺が無事であるということと、数年とはいえ穏やかに暮らさせてもらったことの恩返しもできたらと思っていたんだ。金は受け取ってはもらえなかったがね」
 苦笑する。伏せられた金色の瞳を憧れるように細め「彼女は理想の母親だった」と囁いた。
「弟のことも可愛がるつもりでいたさ。だが俺がくだらない親父の相手をしている間も、貧困に喘いでいる間も、あの弟は彼女のもとでぬくぬくと育っていたのだと思うと可愛がる気になれなくてな。この田舎の村で俺のことを笠にきて自慢するのを見ていると、ますます萎えてしまった。まぁ、あいつは別に悪くないさ。ただ逆の立場だったらと思う事が時々ある。要するに、ただのみっともない嫉妬さ」
「そうですか、なら僕と同じですね」
 ミモザの言葉に、やっと彼はミモザのほうを向いた。ミモザはそれを見つめ返す。
「僕には出来のいい姉がいて、彼女は僕サプリメント マカの欲しいものを全部持ってるんです。だから僕はそれが羨ましくて……」
 体育座りをしている膝に、こてん、と頭を預けてミモザは無邪気に笑った。
「僕たち、おそろいですね」
「……嫌なお揃いだな」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてみせて、しかしすぐにレオンハルトは口元に淡い笑みを浮かべた。
「初めて人に話した」
「僕もです」
「内緒だぞ。格好が悪いからな」
「はい」
「君の話も内緒にしておいてあげよう」
「まるで共犯者みたいですね」
「まるでじゃないさ」
 ミモザが見つめる先で、彼は金色の目をにやりと歪めて悪いことに唆すような甘い声を出す。
「俺と君は共犯者だよ、間違いなく。だって一緒にアベルのことを陥れただろう」
 人差し指を一本立てて見せると、それをミモザの唇へと押し当てた。
「内緒だ」
 しー、と吐息を吐き出す彼に、ミモザも同意するようにしー、と息を吐き出した。
 2人は身を寄せ合って笑った。
アントシアニン亜鉛の効果亜鉛マカ

 第4の塔のクロム

 第4の塔の中身は見渡す限りの草原だった。ところどころに沼地があるものの遮蔽物が何も亜鉛の効果ないだ亜鉛の効果だっ広い空間の真ん中で、彼らは身を寄せ合って座っていた。それぞれめいめいに『試練の塔閉鎖!』や『これ以上の犠牲者を増やすな!』と書かれた看板やのぼりを手に掲げている。
(どうしたものか)
 その集団の中にゴーヤ チャンプルーあって、マシューは頭を悩ませていた。このような事態はまるっきり彼の想定にはなかったからだ。
 彼の若草色の髪が風に流れる。深い森のような緑の瞳は冷静に周囲を見回した。そばかすと丸顔のせいで若く見られるがマシューは15歳の成人済みの青年である。この中では若造の部類に入るが事情もよくわからず連れてこられた子ども達よりは大人だ。こうなってしまった以マカ と は上、マシューには子ども達を守る責任がある。
「塔の開放はんたーい!安全のために閉鎖しろー!」
 その時1人の老人が声を張り上げた。何が楽しいのかその顔には満面の笑みを浮かべている。
 思わず舌打ちをする。
(あいつさえいなければ……)
 あの男、ロランが今回の立てこもりの首謀者だ。マシューは反対したが、先日の失策のせいで聞き入れられなかった。だとしてもこのような強行策をみんなが支持するとは、マシューが思っているよりも改革がうまくいかないフラストレーションが溜まっていたらしい。
 マシューの推測ではあの老亜鉛人はおそらく保護研究会の過激派だ。そうでなければ今回の行動を推し進める説明がつかない。この立てこもり行為はあまりにも割が合わなさすぎる。利益を出すためには、そう、例えばここで人が死ねば人々の非難は教会に向くかも知れなかった。彼はマシュー達被害者遺族の会を捨て駒にするつもりなのだ。
(くそっ、どうしたら)
 しかし今それを仲間に伝えたところで通じないだろう。そもそもこの作戦の無益さはとうに訴えた後である。マシューには先導者やリーダーとしての才がない。あくまで裏方で策を練るのみで人の上に立つことが難しいのだ。
(だからこそ、彼女に)
 ちらり、と人の輪の中心部を見る。そこにはジェーンが背筋を伸ばして座っていた。
(彼女には人を惹きつける力がある)
 マシューにはないものだ。マシューはジェーンにリーダーマカ と はになって欲しかった。
 マシューは自身の守護精霊である白い毛をした子猿、キースを見た。
(いざとなったら俺が盾になる。みんなを生きて返す)
できることならそんな事態は考えたくもなかった。
 
 一体何時間が経っただろう。あらかじめ用意していた水筒の水は尽きてしまった。それまでは何もいなかった草原にはちらほらと馬型の野良精霊の姿が見え始めていた。彼らはまだこちらの様子を伺っているが、襲って来るのは時間の問題だろう。最初は威勢の良かった仲間達も、その数が20を超えたあたりで恐怖のほうが勝ってきてしまっている。
「お、お兄ちゃんっ」
「大丈夫。大丈夫だからな。俺のそばを離れるなよ」
 子ども達がしがみついてくるのを抱き返す。
「なーにをびびっとる!これはぁ!我々の家族のため!これ以上の犠牲者を出さないための勇気ある行動である!!」
 元気なのはロランだけだ。
「おい、大声を出すなっ、下手に刺激クロムをしたら……」
 襲って来るぞ、と言い切る前に、馬のいななく声がした。
「き、キース!」
 マシューの声に反応してキースは防御形態の盾となりその突進を防ぐ。しかし相手は一頭だけではないのだ。次々と襲いくる野良精霊に、キースは防戦一方だ。
「み、みんな!早く!今のうちに避難を!!もういいだろう!」
「で、でも……」
 迷うように、けれど挑むこともできずに立ちすくむ仲間に、マシューは怒鳴る。
「もう充分に抗議の姿勢は見せた!これで俺たちが本気だと教会にも国にも伝わっただろう!成果はあげた!撤退だ!」
 その必死の叫びにはっとした顔になり移動を始めたところで、
「ならぬ!!」
 ロランが立ち塞がった。白髪を振り乱し、手には槍を持っている。
「我らが同胞よ!まさか臆病風に吹かれて逃げる気ではあるまいな!そんなことでどうする!家族は!大切な家族を二度も見捨てる気か!!」
 その一喝に立ちすくむ。ロランはここから先は一歩も通さんという態度で仁王立ちをしていた。
「……っ!逃げろ!」
 その時キースの盾をすり抜けた1匹がジェーンの下へと向かった。彼女は驚いたように身を引き、しかしそれ以ゴーヤ上は動けずに、
「ジェーンさん!」
「これは大いなる一歩である!!」
 マシューの叫びとロランの高笑が重なった。
 ーーと、がこん、と妙な鈍い音がした。
 呆然と見つめるマシューの目の前で、その馬の首は跳ね飛ばされた。
 血飛沫が舞う。そんな悪夢のような光景の中で、場違いに美しい少女が立っていた。
「どうやら間に合ったみたいですね」
 涼やかな声がする。金色の髪が風になびき、その深海のような瞳がマシューのことを見た。
「すみません、遅くなりました」
 まるで待ち合わせに遅れた報告のように、呼ばれていないはずの彼女はそう言った。
 そこで初めてマシューは彼女の持つ巨大なメイスが馬の首をへし折ったのだと理解した。
マカ と はアントシアニンの効果クロム

 結論からポリ ペプチド

 結論から言えばいじめ問題は解決した。
 ミモザが学校に通わず課題のdha epaみの在宅学習をすることを認めるdhaという形で、だ。
 ーーあの後、学校は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
 悪質なイジメとそれを担任の教師が見て見ぬふりをして増長していたことを重く受け止めた学校側が保護者との話し合いの場を設けたのであるアントシアニンの効果
 それはミモザの狙い通りの結果だった。
 隣のクラスの担任教師は公正明大を自で行く人物で、曲がったことを許さない性格であることをミモザは知っていた。そして授業中に騒ぎを起こせば責任感の強い彼ならば駆けつけてくれることも確信していたのだ。
(でも意外だったな)
 誤算だったのはミモザの母、ミレイが想像以上に怒ったこサプリメント マカとである。
 ミレイは本来とても大人しく日和見な人間だ。それこそ周囲の人間に「双子の見分けがつかないと困る」と言われて髪型や服装を分けさせることで差別化を図るという行動に従うほどである。
 ミモザの小心者な性格は彼女から受け継いだと言っても過言ではない。
 だから今回の件もいままでのミモザがそうであったように、ミレイは困ったような顔をして事を荒立てず穏便に済ますと思っていたのだ。ーーけれど、
「ミモザ……っ」
 傷だらけのミモザを前に彼女は半泣きで駆け寄ると、すぐにその亜鉛 の サプリ体を抱きしめた。
 そうしてミモザの怪我の具合を確認すると、キッと顔を上げ「一体どういうことなんですか!」とそばで説明のために控えていた教員に詰め寄ったのだ。
 これにはミモザは驚くのを通り越して呆気に取られた。これまでの人生で母がそんなにきつい声を出すところを初めて見たのだ。
 そしてその後も驚きの連続だった。学校側の説明を受け今後の対応の話になった時、学校側は再発を防ぐためにミモザを他のクラスに移すことを提案した。これはかなり思い切った案であると思う。学校側もそれくらい今回の件を重く見ていたということだろう。しかしそれにミレイは首を横に振った。
「それだけでは足りません。聞けばクラスの全員が今回の件に加担していたといいます。そアントシアニンの効果してそれに先生方は誰一人気づかず、担任の先生は隠蔽していたとか。その状況でどうして貴方がたを信用できると言うのです。クラスを変えたところで同じことが起きない保証は?事件になったことで逆恨みをされてさらにひどいことになるかも知れない。第一ミモザの気持ちはどうなるのです。みんなにいじめられていたことを知られているんですよ。それで何食わぬ顔をして明日から学校に通えと言うのですか!こんな酷い怪我を負わされて!」
 そこでミレイが提示した条件は二つである。
 一つはミモザの在宅学習を認めること。ミモザの気持ちが落ち着くまで、下手をすればそれは卒業までになるかも知れないがプリント課題をこなすことでそれを授業の履修と見なし、きちんと卒業資格も与えること。
 そしてもう一つはミモザが復学したくなった際にはそれを認め、その際には今回いじめに加担した生徒からの接触を一切禁じること亜鉛 サプリ おすすめである。
 ミモザから話しかけた場合はいい。しかし加害者側からミモザに近づくことはないように監視して欲しいという要求である。
 当然学校側は四六時中見張っていることはできないと渋ったが「ではもし同様のことが影で行われてもやはり気づくことはできないということですね」と強く言われてしまうと反論は難しいようだった。
 結局、落とし所としては一つ目の条件は全面的に認め、二つ目に関しては要努力で適宜聞き取り調査なども行いながら対応していくという形となった。
 ちなみにミモザとしては許されるならば学校になど二度と行きたくないので卒業まで在宅学習で通す気満々である。一部の熱血教師を除いて学校側も対応に困っている様子のため、ミモザが学校に行かないという行為は双方にとって益がある選択だと言えるだろう。
「ミモザ、ミモザ、ごめんね、気づいてあげられなくて。頼りないママでごめんね」と抱きしめながら泣く母親にミモザは自分が愛されていたことを知って泣きそうになった。
 てっきりこの母も人気者のステラのことを自慢に思い、ミモザのことを下にゴーヤ チャンプルー置いていると思っていた。だからこのような面倒ごとを起こしてはうっとうしがられると思っていたのである。
 しかし実際は母はミモザのために泣き、ミモザのために学校と戦ってくれたのである。
 誤算は誤算でもこれは嬉しい誤算だった。
 ちなみに今回の件でアベルは一気に評判を落として面子が潰れたようである。姉のステラにも「嘘をついていたのね、ひどい!」となじられたようだ。
 一度潰れた面子はもう戻らない。偉ぶってももう格好がつかないだろう。彼の王冠は剥がされたも同然である。
 ついでに担任の教師も首になり、その上この小さい村中に噂が回り爪弾きにあっているようだ。彼がこの村を出ていく日も近いかも知れない。
(ざまぁみろ)
 ミモザは母親に抱きしめられながらほくそ笑んだ。
サプリメント マカゴーヤ チャンプルーdha epa dha

「試練の塔被害者マカ と は

「試練の塔被害者遺族の会ポリ ペプチド?」
 その単語にミモザは首をひねった。
「ええ、聞い亜鉛 の サプリたことない?」
「えっと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
 新聞などで見たことのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出す。それにレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉の通りではない」
dha epa dhaえ?」
「被害者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃあ納得できないのよねぇ」
 フレイヤは困ったようなポーズを取った。
「彼らはこれ以上犠クロムの効能牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
 新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単純に女神の作った物を踏み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まdhaぁ、こっちは過激派以外は放っておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
 なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
 テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
 確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう。
「けど被害者遺族の会は厄介なのよ」
「厄介?」
 フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないようサプリメント マカに立ち入りを禁止したいって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
 ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
 なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
 憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わる人間の育成に貢献している。そのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を亜鉛の効果利用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
 それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
 彼がここまで饒舌なのは珍しい。
「百害あって一利なしってことですか」
「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」 
 ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
 フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
 彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
「知り合いの記者に写しをもらったの。これが世に出るのは明後日」
「差し止めは、難しいだろうなぁ」
「ええ、書いた本人が希望するならともかく、わたくし達には無理でしょう」
 ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
 そこに書かれた内容は1人の娘を失った母親のポリ ペプチド悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
 フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
 オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
 この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
 フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。

 ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
 ミモザは会議に参加せず話を聞いていただけだがそれでも精神力がごりごりと削られるやりとりであった。
 さっさと立ち去るレオンハルトの背についていこうと足を踏み出したところで
「ミモザさん」
 呼び止められて振り向く。声の主は爽やか少年ことジーンであった。
 彼はミモザの不思議マカ と はそうな視線ににっこりと笑うことで答える。
「今日はありがとうございました。貴方のような美しい方に出会えてとても貴重な時間を過ごすことができました」
「はぁ……」
 彼が一体何を言いたいかがわからずミモザは戸惑う。それに彼は苦笑した。
「まいったなぁ、慣れないことはするもんじゃないですね。一応これ、口説いてるんですけど」
 うん?のミモザは首をひねる。『口説く』という単語の意味がミモザの中で急に行方不明になった。彼は少し困ったように頭をかく。
「そうですね、貴方にはこう言った方がいいかな。また今度時間があるときにでも、よければ手合わせを」
「……えーと、嫌です」
 視線を泳がせてミモザなんとかそれだけを返す。非常に気まずい沈黙がその場に落ちた。
「な、なんでですか?」
「ええと、たぶん僕、勝てないので」
「やって見ないとわからないじゃないですか!」
「うーん、だって、手合わせって試合ってことですよね」
 ミモザは考え考え言葉を話す。
「え、は、はぁ」
 彼は戸惑っている。ミモザは困ったように続けた。
「殺し合いじゃないと、勝機がないです」
「………」
「どーいう教育してんだ、お前」
 2人の会話に見かねたガブリエルがレオンハルトをこづく。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「非常に適切な教育をしているとも」
 そのまま褒めるようにミモザの頭を撫でる。
「勝ち目のない戦はするなと教えている」
「試合は勝てねえのに殺し合いは勝てるって?」
「少しでも勝率を上げるのに有効なのは相手を自分の得意な土俵に引き摺り込むことだ。公正ゴーヤなルールのある試合では、それは難しいと判断したんだろう。とても適切な判断だ」
「ねぇ貴方、やっぱりわたくしの弟子にならない?この際この男以外ならそこにいるおじさんでもいいと思うの」
「えーと」
 真剣な表情で親身に諭されて、ミモザは我が身の境遇がそんなにヤバいのかとちょっと悩んだ。
マカ と はゴーヤ亜鉛 の サプリdha epa dha

 頭上には晴天が広亜鉛 サプリ

 頭上には晴天が広がっていた。
(塔の中なのに青空……)
 不思議だ亜鉛 サプリ おすすめなーとミモザはぼんやり見上げる。
「ーーですから!こんな危険なことはやめて、クロムいったん外に!」
 チロもメイスの姿のまま「チチッ」と鳴く。彼女は綺麗な空だ、とつぶやいたようだ。
「塔の処遇については責任者でないとお話しできませんから、これ以上ここで粘っサプリメント マカても……」
 その時、馬の野良精霊が再び突進してきた。それをバッターボックスにいるバッターよろしくミモザは迎え撃つ。
 ぐちゃ、と嫌な音がして馬の頭が飛んだ。
 ふぅ、と息をつく。もう野良精霊達をどのくらい倒したかわからない。100匹近くいっている気がする。1人20匹までという制限も、いつもの『仕事』同様、今回も人員救助のために見逃してくれるというお墨付きをもらっていた。
「あー、返亜鉛り血がすごい」
「ていうかミモザさんも少しは説得に協力してもらえませんかね!?」
 黙々と野良精霊を狩り続けるミモザに、辛抱たまらんといった様子でジーンが怒鳴った。それに答えたのはミモザではなくジェーンだ。
「申し訳ありませんが、どなたに何を言われても私の意思は変わりません」
「ですって」
「ですって、じゃありませんよ!!」
 うーん、とミモザはうなる。
(だって無理だし……)
 狭い村の人間とすらあまりうまくコミュニケーションを取れていなかったミモザである。そしてクラスメイトにはいじめられていて友達が1人もいないミモゴーヤザである。
 それが自らを人質にして立てこもる人を説得。
(ハードルが高すぎる)
 きっとレオンハルトならうまいこと口八丁で丸め込むのだろう。姉なら優しく諭すかもしれない。
 しかしミモザはーー、
「ジーンさん、だったかしら。わずらわせてしまってごめんなさいね。でも私達も必死なのよ」
 ジェーンは困ったように首を振った。
「私の娘は勇敢な子だったわ。そしてちょっと目立ちたがり屋だった。あの子の性格を考えると精霊騎士を目指すのは必然だったかも知れない。でもあの子が亡くなってしまって、思ったのよ。もしも塔を攻略するなんて選択肢がそもそも存在しなければ、そうしたらあの子は今でも元気だったかも知れない。そう思ってしまうのはそんなにおかしいことかしら?」
「……お気持ちはマカ サプリわかります、ですが、」
「まだ、精霊騎士として任務についていたとか、そういう理由ならばわかるの。けどそうじゃないのよ。塔に挑んで亡くなるなんて、なんて無益な死に方なのかしら。誰かを助けたわけでもない、それをすることによって世の中が良くなるわけでもない。挑む必要性なんて何もないじゃない。だったら、精霊騎士になるための道標として塔の攻略をする必然性なんてないじゃない?」
「塔に挑むことで得られる女神様の祝福があります。その恩恵により僕たちは今よりも強くなれる。貴方たちの要望では、塔を完全に封鎖し今後誰も入れないようにするというものだ。例えどれだけ本人がそれを望んだとしても」
「そうよ、そうでなければ意味がない。だって娘は自ら望んで入ったのだもの。選択肢として完全に消失させなければ意味がないの」
「それでは……っ!」
 ジーンは苦しげに訴える。
「それでは僕は永遠に先生に追いつけなくなってしまう!!」
 もっともの訴えだとミモザも思マカ サプリう。先人達は女神の祝福を受けているのに、これからの若者はそれを受けられなくなる。それは世代間に大きな実力差という溝を作るだろう。
「それでも」
 しかしジェーンは静かに告げた。
「私は騎士になる以前に摘まれてしまう芽のほうが罪深いと思うわ」
「………っ!それは!」
「貴方にも、貴方を心配してくれる人はいるでしょう?それこそ貴方の先生は?ご両親は?貴方が塔に挑んで亡くなったら悲しむのではないかしら」
「そんなっ、そんなのは…っ!くそっ!」
 ジーンは悔しげに俯く。 
(なるほど、確かに『厄介』だ)
 その言葉を明確に否定できる人間は少ないだろう。
 その時、彼女はミモザの方を見た。お互いの目があったことにミモザは少し驚く。彼女は少し笑った。
「さっきから、貴方は何も言わない。……だんまりを決め込むのは楽でいいわね」
 その言葉にミモザは考え込む。
(楽。楽かぁ……)
 確かにおっしゃる通りだ。ミモザは楽だからずっと黙っていたのだ。だってミモザの仕事は死傷者を出さないことで彼女達の説得ではない。
(余計なことを言ってレオン様の邪魔になってもいけないし)
 沈黙は金だ。黙っている限亜鉛の効果り失うものはない。けれど、
「言えません、何も」
 そこでやっと、ミモザは口を開いた。
(けれど、不誠実ではあるのだろう)
 ジェーンの瞳を見つめる。彼女は静かにミモザの言葉を待っている。
「子供を産んだことのない僕には、娘を亡くした貴方の気持ちなどわかりません」
「……っ、貴方には想像力がないの?」
 彼女はわずかに苛立ったようだった。その言葉はミモザにとって意外なものだ。
「想像でいいのですか?」
 思わず素直な疑問が口からこぼれ落ちた。
「よく知りもしない子どもに、想像でわかったような気になられて良いのですか?」
「……っ!」
「それならできますが、きっとそれは貴方の被った痛みとは程遠い。その程度の単純な想像で補えるような悲しみではないのでしょう」
 ジェーンは戸惑ったように黙り込んだ後、何かを諦めたようにため息をついた。
「あなた、馬鹿正直って言われない?」
「正直者ではありません。でもきっと、頭は悪い方です」
「そういう意味じゃないわ。ごめんなさいね、責めるようなことを言って」
 目を伏せる彼女に、ミモザは何かを言わなければならないような気がして口を開く。
「母親の気持ちはわかりませんが、僕はある人の娘なので、娘さんの気持ちは少しわかると思います。まぁ、それも僕の勝手な想像なんでしょうが」
 ジェーン亜鉛の効果は苦笑した。
「どんな気持ちかしら」
「僕の母親がこんな危険な場所にいたら、きっと僕は恐ろしくてたまらない。すぐに安全な場所に避難して欲しいと思います」
「……そう」
 何かを噛みしめるように彼女は俯いた。その表情はミモザからは見えない。
「貴方のお母様は果報者ね」
「いいえ。心労ばかりかけて申し訳ない限りです。あの母親のもとに産まれることができて、僕の方が果報者です」
 そう、そうなのね、とジェーンは噛みしめるように呟いた。それをしばし眺めた後、うーん、とミモザは首をひねる。
「それで、ええと、貴方は僕の意見が聞きたいのでしたね」
 それに驚いたように彼女は顔を上げた。そして困ったように笑う。
「いいのよ、もう。意地悪を言って悪かったわ」
「いいえ、この際だから言いましょうか」
 ミモザはゆっくりと首を横に振った。そして丁寧に彼女と視線を合わせ、告げた。
「僕は貴方達を卑怯者だと思っている」
亜鉛アントシアニンの効果クロムの効能マカ と は